診療科・部門紹介
  • 埼玉病院のご案内
  • 診療科・部門紹介
  • 患者さんへ
  • 医療関係者の方へ
  • 職員募集
  • 交通アクセス

眼科(網膜硝子体外来)

埼玉病院 トップ > 診療科・部門紹介 > 眼科(概要)> 網膜硝子体外来

眼科

網膜硝子体外来は、網膜剥離・糖尿病網膜症・硝子体出血・黄斑上膜・黄斑円孔・加齢黄斑変性などの疾患を対象として治療、診察を行います。

網膜は眼球の一番奥にある組織で、目の外から入ってきた光を受け止めて、その刺激を電気信号に変換して脳に届ける役割を果たしています。カメラで例えるならフィルムに相当します。網膜が障害されると、視力低下の他、飛蚊症(黒いゴミのようなもの)が増えたり、視野の一部が欠けたり、物が歪んで見えるなどの症状が出現します。

網膜剥離

網膜は10層の組織から構成されていて、最も深い部分を網膜色素上皮と呼び、その上には光の刺激を脳に伝える神経網膜があります。網膜剥離とは、何らかの原因でこの神経網膜が色素上皮から剥がれる病気です。網膜剥離はその原因により、裂孔原性網膜剥離と、非裂孔原性網膜剥離にわけられます。

裂孔原性網膜剥離は、網膜剥離の中で最も多くみられるものです。網膜に孔が開く主な原因として、加齢や外傷などがあります。眼球の中は硝子体という粘稠で牽引性の強いゼリー状の物質で満たされていますが、加齢によってこの硝子体の性状が変化することで、網膜が牽引されて孔(網膜裂孔)が開いたり、若年者では近視に伴う網膜の変性部位や外傷による直接のダメージで孔(円孔)が開くことがあります。目の中にある水分がその孔を通って網膜の下に入り込んでいき、最終的には網膜が剥がれてしまいます。特に強度近視の人でより多くみられます。どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが、若年者と中年者の人に多いといわれています。

非裂孔原性網膜剥離には、牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。裂孔原性網膜剥離と同様に網膜剥離が起きた状態ですが、なにか別の病気に続発して起きることが多く、様々な疾患が原因となります。牽引性網膜剥離は重症の糖尿病網膜症などでみられます。滲出性網膜剥離は腫瘍やぶどう膜炎などでみられます。

裂孔原性網膜剥離の治療では、裂孔と網膜剥離の程度次第で、レーザー(網膜光凝固術)か網膜硝子体手術かどちらかの方法が用いられます。裂孔があっても網膜剥離が進行していない場合は外来にてレーザー治療を行います。網膜剥離が進行している場合は、入院して手術が必要です。若年者であると網膜復位術(強膜バックリング)、中年者以降の年齢であると硝子体茎顕微鏡下離断術が選択されることが多いです。

非裂孔原性網膜剥離の治療には、そもそもの原因となる病気の治療が必要であり、眼に対しては、炎症を抑えるステロイドテノン嚢下投与を行ったり、必要があれば手術をすることもあります。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症と呼ばれており、中途失明の原因となります。網膜症発症には血糖コントロール(HbA1c)、収縮期血圧、罹病期間が疾患の進行具合に有意に関連しているといわれています。

初期には視力低下の症状が現れにくく、見えにくいことに気づく頃にはかなり進行して状態が悪くなっている場合もあり、内科や健康診断で糖尿病を指摘されたら、見え方に異常を感じていなくても、必ず眼科での定期的な眼底検査が必要です。

糖尿病網膜症は、持続する高血糖により網膜内の血管に小さな瘤ができたり、血管壁が拡張して薄くなったり、内腔が閉塞して網膜毛細血管障害がおこることで発症します。進行の度合いによって、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の三段階の分類があります。また、眼の中心にむくみが生じる糖尿病黄斑症が生じると、急に視力が低下したり、ものが歪んで見えることがあります。

病期を判定するには、フルオレセインによる蛍光眼底造影撮影が必要です。蛍光色素であるフルオレセイン(FA)を腕静脈内から注入し、網膜血管からの漏出、網膜無血管領域を撮影して診断します。診断がついたら、病状に応じて網膜にレーザーを照射する治療(網膜光凝固)や眼に注射をする治療を行い、場合によっては手術なども行います。

黄斑上膜、黄斑円孔

黄斑上膜は、黄斑前膜、セロファン黄斑症、黄斑パッカーとも呼ばれ、網膜の中心の直径1.5mm~2mm程度の小さな部分である黄斑の前に線維状の膜が張る病気です。黄斑上膜は網膜疾患の中では最も多い病気のひとつで、中でも中高年に多い傾向があります。特発性と続発性があり、特発性は加齢により自然に発生します。続発性は炎症や手術の後に発生するものです。膜の張り方が軽度であれば無症状ですので経過をみていきますが、進行してきて網膜の牽引が強くなってくると視力が低下したり、ものが歪んで見えるようになるので、その場合は手術を行って治療します。

黄斑上膜の類縁疾患として黄斑円孔があります。黄斑円孔は黄斑の真ん中の中心窩に穴が開いてしまう病気です。穴は直径0.5mm に満たないものですが、中心窩は最も視力に関わる部分であるため、視力低下も黄斑上膜より強く、視力は0.1 未満にまで低下することがあります。黄斑円孔では、手術を必要とするケースが大半となります。ただし若年者の黄斑円孔では自然閉鎖を期待できるので、経過観察をすることもあります。

加齢黄斑変性

年齢を重ねるとともに網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積してきます。それにより直接あるいは間接的に黄斑部が障害される病気が加齢黄斑変性です。

加齢黄斑変性には大きく分けると萎縮型と滲出型の2つの種類があります。

萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気です。萎縮型は、現在のところあまり有効な治療がみつかっていません。

滲出型は日本人に多いタイプで、異常な血管(脈絡膜新生血管)が脈絡膜から網膜色素上皮の下あるいは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して網膜が障害される病気です。異常な血管は正常の血管と異なり血液の成分を漏出させたり、血管が破れたりします。血液成分が漏出すると網膜が腫れたり(網膜浮腫)、網膜下に液体が溜まります(網膜下液)。そのために網膜が正しく働かなくなり視力が低下します。血管が破れると網膜下血腫、黄斑下血腫などが起こり網膜を障害します。滲出型では病状によって眼内への抗VEGF抗体の注射で治療を行います。


当院では網膜硝子体疾患に対して入院による手術を行っています。特に緊急な治療を必要とする網膜剥離などの症例に対しては、緊急手術に対応できるように体制を整えております(強膜バックリングや症例によっては全身麻酔下での手術も可能です)。またワイドビューイングシステムと小切開硝子体手術の実施によって、より侵襲の少ない手術を常に心がけております。

また外来診療では、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞疾患、加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管に対する網膜光凝固治療やステロイドテノン嚢下投与、抗VEGF抗体の硝子体内注射を行っております。

治療を行っても症状が改善しない難治性の疾患もありますが、網膜の病気は治療せずに放置しておくと失明のリスクがありますので、心配な症状がある場合は、かかりつけの眼科医院からの紹介状をお持ちの上、ご予約をしてから来院していただけますようお願い申し上げます。お手数をおかけしますがご協力をよろしくお願い申し上げます。緊急の場合はまずお電話にてお問い合わせください。