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呼吸器外科(呼吸器外科診療Q&A(肺がん手術篇))

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呼吸器外科

呼吸器外科診療Q&A~肺がん手術篇

ここでは肺がんの手術全般に関してよく尋ねられる質問とその回答を記述しておきました。

肺がんの検査・診断に関することはこちらを、内視鏡手術(胸腔鏡手術)についてはこちらのページ
ご覧ください。

Q)肺がんの手術も小さな傷で簡単にできるようになったのですか?

A)肺の手術も他の外科領域と同じように、多くの手術で傷は小さくなってきました。

内視鏡(胸腔鏡)手術だけでなく、従来型の開胸手術でも傷の長さは徐々に短くなってきています。ただ傷が小さいことが良い手術であるとは限りません。そもそも小さい傷では、あばら骨の間から大きな病巣は取り出せませんし、安全性が十分担保できない手術もあります。小さい傷で手術をすると手術自体は煩雑で時間もかかります。しかし、傷が小さい方が術後は楽だし、そういう要望も高まっています。ほとんどの呼吸器外科施設では、傷を小さくするような傾向になっています。

その究極が内視鏡(胸腔鏡)手術です。簡単な技術ではありませんが、当科の場合、呼吸器外科領域で行われる手術の8-9割の手術が内視鏡(胸腔鏡)手術で実施可能な時代になってきました。

Q)がんかどうかハッキリしていないのに、手術が必要ですか?

A)状況によりけりですが、疑わしい「がん」が、結果として「がん」であった時の方が恐ろしいか、手術や術後の合併症が恐ろしいかの比較になるでしょう。

ガンの中でも「肺がん」は特に治療が効きにくいガンの一つです。毎年のように新聞紙上には新しいガンの診断法や治療薬発見のような記事が掲載されますが、発見・開発されているのは一部の肺がんにだけ効果がある治療薬ばかりで、肺がんの死亡率を大きく下げるような治療法の発見には至っていません。

現在でも20~30年前と同じように、肺がんでは多くの場合、手術による治療が最善と考えられており、手術治療に匹敵するような薬(抗がん剤)や放射線の治療方法はありません。一方で手術はすべての人に実施できません。体力的に手術が受けられない場合はもちろんですが、肝心の肺がん自体が進行してしまっては、手術の治療効果はなくなってしまいます。現在は肺に近い(縦隔)リンパ節に転移が進んだだけで、手術の治療効果はなくなったも同然と考えられるようになり、一段と早期発見・早期治療が叫ばれるようになってきています。

「肺がん」と診断するためには「がん細胞」を証明する必要がありますが、技術的に困難なケースが増えており、「がん細胞」の証明にこだわっていると、いたずらに時間を浪費して、治療の機会を失ってしまうことにもなりかねません。医師の立場からは、画像診断上、どうしても肺がんが疑われるような場合は、たとえ「がん細胞」が証明できなくても、手術を勧めたくなります。もし肺がんだったら、肺がんなのに早く手術を受けなかったら(普通は2~3年で死ぬことになるかも)という気持ちです。

Q)肺がんの手術ではどこ(の組織)を取るのですか?

A)肺とリンパ組織(リンパ節)です。

肺がんの手術では、がん病巣だけを切り取るのではありません。がん病巣が発生している肺で病巣を包み込むように取り出し、更にガンがよく転移するリンパ節も、周囲のリンパ組織に包んで取り出します。取り出す肺の量は、がん病巣の大きさや場所によって異なります。取り出すリンパ組織の場所や量も、がん病巣の大きさや場所などで変わります。

Q)肺がんの手術は肺がん以外の手術とどこが違うのですか?

A)病巣だけを取るのではなく、正常な組織で病巣を包むようにして取ること、そしてリンパ組織も併せて取る必要があるかどうかの違いが大きいでしょう。

Q)肺がんの標準手術とは何ですか?

A)我が国では通常、肺葉切除と縦隔郭清を行うことを標準手術として、取り扱うこととなっています。

肺は左右に一つずつあるのではなく、右肺は3つの肺葉から、また左は2つの肺葉から構成されています。この5つの構成要素は、それぞれが袋状になっており、明瞭に境されて、左右の気管支にぶら下がった構造をしています。気管支と言う木の枝に、肺葉と言う袋状の5枚の葉っぱがついているような状態です。肺がんの標準手術では、枝から葉っぱを摘み取るように、ガンが発生している肺葉を、袋状のまま、気管支から切り取ることで、中に発生しているがん病巣を、正常肺に包んで取り出します。

左右肺の間にあたる場所を、解剖用語で縦隔と呼びます。この場所には左右肺からのリンパの流れが集まるため、肺の周囲とこの縦隔のリンパ組織を取ることが、肺がんの治療効果を上げると考えられています。

Q)肺がんの拡大手術とは何ですか?

A)標準手術より、取り出す組織の範囲が広い手術です。

例えば、がん病巣が、肺の袋構造を超えて、あばらなどの周辺臓器に広がっている場合、あばら骨などを標準手術の範囲に加えて合わせてとる場合があります。こうした手術を拡大手術と言います。悪いがん病巣なら、どんどん取る範囲を拡大すればよいように思いますが、これ以上広げても、治療効果が上らない境界は概ね明らかにされています。拡大切除の場合は、治療効果と問題点をよく理解の上、手術をお受けになるようお勧めします。

Q)肺がんの縮小手術とは何ですか?

A)標準手術より、取り出す組織の範囲が狭い手術です。

長らく、肺葉切除と縦隔郭清が、肺がんの標準手術と考えられてきましたが、近年は、小型の初期型肺がんが多く見つかるようになり、切除範囲を狭めた縮小手術でも十分ではないかとの意見が見られるようになりました。これには賛否があり、海外では、縮小手術は再発の可能性が高いとの報告も出ています。手術すればほぼ治るとされたがん病巣が、縮小手術で再発したのでは、本末転倒です。この問題は、大規模な試験で決着をつけるほかなく、今、国内でこの縮小手術と標準手術を比較するための臨床試験が行われいます。この結果が出るまでにまだもう少し時間がかかります。縮小手術は、この問題点を十分ご理解の上で、お受けになるようお勧めします。

Q)手術以外の治療と手術はどっちが良いのですか?

A)手術が適切と言われ、手術が可能であれば、手術をお勧めします。

手術や抗がん剤、放射線治療など、がんの治療法にはいくつかの方法があり、過去何十年にもわたる研究から、概ね手術を勧めるべき肺がんの状態(進行度)がわかっています。抗がん剤や放射線治療などはかなり効き目が上がったとはいえ、肺がんを治すところまでは至っていません。手術にとって代わるほどの効果は認められていないのです。手術を勧められている場合は、手術をお受けになることをお勧めします。

Q)手術の前後に手術以外の治療をするのですか?

A)状況によっては手術前後に、別の治療を追加する場合があります。

手術だけでは再発の可能性が残る肺がんでは、手術に加えて何か別の治療をすべきかどうかについて、何十年にもわたって議論されてきました。補助療法とか、集学的治療とかの名称で、世界中で、ありとあらゆる、思いつく限りの治療が、様々な組み合わせで試されてきましたが、肺がんについては、これしかないというような劇的効果を上げているものは、残念ながらありません。かなり主観的評価で、お叱りを受けそうですが、あれと比べれば、これの方が少し良いかな、マシかなという程度だと言えます。複数治療の組み合わせについては、今後も試行錯誤が続くものと思います。現状ではがんや心身の状態を見ながら、ある程度個別に治療を考えて行うというのが、現実的な方法でしょう。

Q)再発しても手術は受けられますか?

A)手術をお勧めできるケースは限られています。

再発時に手術による治療が選択できるのは限られた条件を満たす場合だけです。担当医とご相談ください。

Q)他の臓器のガンが肺に転移しています(転移性肺がん)が手術は受けられますか?

A)肺以外にがん病巣がない場合は、手術を受けられる場合が多いです。

肺に転移してきた場合の治療は、原則として肺以外にがん病巣がないこと、手術に勝る治療法がないことなどが前提条件です。肺に病巣があっても、肺がんとして扱うのではなく、元の病気(原発巣と呼びます)の治療の一環として、肺の病巣を扱うことになります。初めに元の病気(原発巣)の治療を担当している医師とご相談ください。

Q)他の臓器の手術と同時に肺がんの手術は受けられますか?

A)受けられる場合もありますが、分けて行うことも少なくありません。

緊急性を要する手術があるなら、それを先行して行います。例えば、狭心症のため手術が必要な肺がんの場合は、肺がんの手術を行う前に、狭心症を治しておかなければいけません。二つのがん病巣がある場合は、夫々のがんの進行度を考慮して優先順位を決めます。同じ胸部の疾患で、相互に影響しない場合は、同時に行うこともあります。手術が一回で済めば、と言うお気持ちもわかりますが、一人の方の複数の臓器を違う診療科が同時に手術すると、点滴や薬の投与など、管理方法が難しくなったり、手薄になったりすることがあるので、あまりお勧めできる方法ではありません。

Q)他の臓器の病気の治療を行ったばかりですが肺がんの手術を受けられますか?

A)他の臓器の手術を受けていても、肺がんの手術は可能です。

可能なら十分体力が回復した後に行うことが理想ですが、肺がんも日々進行していますので、できれば早く手術をお受けください。手術可能かどうかの見極めは、手術を担当する医師にご相談ください。

Q)以前ほかの病気で肺の手術をしていますが肺がんの手術はできますか?

A)多くの場合できますが、手術は難しくなります。

どちらの肺のどのような手術かで、手術出来る出来ないや、出来たとした場合の難しさが変わります。同じ側の肺を手術する場合は、手術時間も大幅に伸び、出血量も増えます。反対側の手術の場合は、手術の難易度には影響しませんが、麻酔が難しくなり、麻酔が維持できずに手術を断念することがあります。詳しくは手術を担当する医師にお尋ねください。

Q)両方(左右)の肺の手術を受けることはできますか?

A)多くの場合できますが、手術後の呼吸機能が下がることがほとんどです。

左右の肺にどのような手術をするかで、手術出来る出来ないや、出来たとした場合の難しさが変わります。詳しくは手術を担当する医師にお尋ねください。

Q)悪い病巣(肺がん)を取れば呼吸も楽になりますか?

A)肺がんの手術をして呼吸が楽になることは(極めて例外的な場合以外)ありません。

肺がんの手術では悪い病巣(肺がん病巣)だけでなく、ガンでない肺の組織 にガンを包んで取る、という手術が基本です。肺の機能を回復する手術ではありません。手術前に息が苦しい状態の方に、このような手術をすると呼吸の状態は、より悪くなります。