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呼吸器外科(研修・見学案内(当科の研修で取得可能な資格など))

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呼吸器外科

当科の研修で取得可能な資格など

当科のような、特定医局の傘下にない診療科で研修する場合、やはり専門医などの資格取得を一つの目標に研修をするのが良いと思います。専門医などは急いで取得しても、それほどメリットはないかも知れませんが、取れるうちに取っておかないと、いつか損をします。ここでは、これから研修を開始しようとしている卒前卒後の若い先生方向けに、当科で取得可能な資格をお知らせするとともに、資格取得の意義についての当科の考えを提示しました。

専門医ってなんだ

日本では医師の資格について、医師は『全ての医療行為ができる』一方で、医師以外のものには『どのような医療行為も禁じる』という基本的思想のようなものが貫かれてきました。内科医が切開も縫合もできないとなると、それはそれで医療にならなくなるのは明白ですから、この思想自体は間違いではありません。そこで、これまでは、専門医はあくまで任意団体の認定制度という立場をとり、排他的な特権を与えるものではありませんでした。

医師であれば、誰でも『外科医』と呼称できます。呼称しなくとも手術などの外科診療は可能で、標榜科として『外科』を立てることもできます。実際、何百床もあるような大きな病院でも、心臓外科医や消化器外科医が呼吸器外科の診療科長となっている(つまり心臓外科医や消化器外科医が呼吸器外科をやっている)ところは、珍しくありませんし、外科医が開業して内科医となっているような事例は、数えきれないくらい見聞きしたことでしょう。

もちろん、他科の医師であっても、呼吸器外科の技術や知識を高いレベルで発揮できる有能な医師も少なからず存在すると思いますが、高度に専門化された今日、呼吸器外科を標榜するなら、それなりの研鑽を積み、標榜するにふさわしい知識と技能を持った医師が行うべきでしょう。しかし、国家資格の中の国家資格ともいえる、医師と言う資格の上位に、新たな資格の枠を付け加えることには問題があります。特定の医師のみが特定の診療科を名乗ることは、先に挙げた法律の趣旨に反します。そこで考え出されたのが、かつて認定医と呼ばれ、そして今は専門医と名前を変えてきた制度の流用です。

認定医は仲間内でお互いの技能を認め合うという趣旨の技能認定制度です。資格ではありませんので、特定の権益や執行権などを付与するものではありませんでした。どちらかと言えば箔付け、名誉職的な趣が強く、経験さえ積めばという一面があったのは間違いありません。医師資格以外の項目は広告できないというとても厳しい制限がある中、一部でこの認定医という箔を宣伝や広告に使う人たちもいて、問題視されるに至り、ここへ至って行政がこれに関わってきます。広告可能とする代わりに、認定医を専門医と改め、一定の要件を満たすよう要求し始めるとともに、法的根拠のない専門医と言う資格の有無によって、特定の医療行為を制限するところまで来ました。専門医と言う制度を、まさに医師資格の上の資格として扱うようになったのです。しかも時の行政官の通達でその要件も権益も変えられるのです。

本来、専門医の呼称は、認定と同じく、医師個人の専門性や特定分野の能力を示す指標であるべきですが、このような排他的な資格制度は、資格取得者や認定組織にとって既得権益の保護行為にほかなりません。つまり苦労して国家試験を通って、無事医師資格を得ても、それだけでは何も医師らしい仕事ができないという環境ができつつあるということです。

それを見越して、各種団体が、様々な思惑で、競うように作り上げてきました。結果、専門医制度は、複雑怪奇なものとなり、本来の意義や目的を失って、有名無実化しつつあるのです。

しかし、過去何十年にも亘る、この専門医制度の議論にもようやく決着がつき、近々大きく変更される予定です。医師を内科、外科などの主要診療科に振り分け、その上にさらに特定分野の専門性を認めるという方向です。具体的には外科系専門医は、まず基本診療科と呼ぶ外科専門医を取得し、その上でサブスペシャリティと呼ぶ呼吸器外科、心臓外科、消化器外科などの領域の専門医を数年かけて取得する仕組みになっています(二階建て方式と言います)。

専門医を取得するメリット

(1)すくなくとも真面目に向き合ってきたと評価される

正直なところ、専門医を持っているからと言って、その分野に秀でていると思っている医師は、医者の仲間内にはほとんどいないでしょう。受験要件さえ満たせば、試験さえ通れば取得できるのですから。しかし、少なくとも、真面目にやりさえすれば、ある意味誰でも取れるはずの資格すら、持っていないとどうでしょう。最小限とも言える手術経験すら足りていない未熟者なのか、あるいは決められた制度に則って、自発的に資格を取得しようという姿勢がない変わり者なのか。専門医の有無は、優劣の評価にはなりませんが、仕事に対する向き合い方を感じさせる指標にはなるのです。経験年数にもよりますが、もしあなたが医師を採用する立場なら、どうしても有資格者に目が向くはずです。

(2)それなりの専門性をアピールできる

資格マニアもいますが、真面目に日常診療に取り組んでいれば、自然と取得資格も、その医師なりの領域に限られていきます。複数の資格を持っていても、その資格を見れば、大体の経歴が透けて見えてきます。名刺やプロフィールでも資格がないと、かなり寂しい時代になってきています。面識がなくても、一応専門は何か、どのような興味を持って医療に取り組んできたかを伝える力があります。

(3)勉強のきっかけになる

初めて取得するときは当然、試験勉強が必要です。甘く見て合格しなかった人を何人も知っています。資格試験となると、普段自分があまり関わらないような領域まで幅広く勉強する必要があり、また内容も最新の知識が必要になるので、それなりに勉強になります。専門医制度は更新を前提としているので、時々自分の業績を調べなおさなければいけません。講習やセミナーの受講なども必要で、勉強させられます。

(4)勤務先によっては給与加算がある

国立病院機構では専門医の資格があると、僅かですが給与加算があります。専門医の数や在・不在で同じ診療行為でも保険点数が違うようなことがあるからです。

(5)持っていないと損するようになる

医師ならだれでもどのような医療行為でもできるという時代は終わりを告げようとしています。おそらくその制限の根拠になるのが新しい専門医制度でしょう。とくに2018年以降に導入が予定されている制度は、厚生労働省が主導しており、おそらく今後は、専門医資格の有無による保険診療上の制限(特権)が強くなるものと予想されます。そうなると、持っていなければ大きく損をします。

(6)持っていないと後輩が困る

資格取得のためには、指定された研修施設で研鑽を積む必要があります。上司が無資格者で、研修施設の認定が成されないと、そこで働き、資格取得を目指している部下全員に迷惑がかかります。施設認定のない医療機関には若い医師が集まらなくなるのは当然の帰結でしょう。

専門医取得のデメリット

ときにかく、お金がかかります。取得の条件を満たすための学会の年会費、総会参加費・旅費、講習会受講料、論文発表経費、受験料など、多分10万円単位の金が必要です。合格してもなお、認定料を取られますが、これがまた数万円だったり。そしてこれら全てがまた、数年おきの更新に必要です。取得している専門医は一つだけではないので、資格維持のために毎年必要な経費は、尋常な金額ではありません。学会総会などは専門医取得のためだけに参加しているのではないとも言えますが、ノルマの厳しいものも多く、資格維持のために出席する学会や講習会もないとは言えません。学会に出席する間は診療も休まなければならず、お金以外もいろいろ負担は大きいです。

書類作成もたいへんです。自分の業績を示すために、いろいろな書類をたくさん集めて提出しなければなりません。資格が複数あると毎年のようにどれかの資格更新の時期が来て、それぞれに違う書類を用意する必要があり、無駄な時間のように感じることも少なくありません。特に施設の責任者の立場になると、病院の研修施設としての資格認定も必要になり、大変な業務です。外科系の学会では負担軽減のため関係者も随分努力され、以前よりは楽になってきていますが、通常の勤務外の業務となり、一臨床医としてはやはり大変です。

当院・当科で取得できる専門医(呼吸器外科関連のみ)

<外科専門医>

日本外科学会が認定する専門医です。俗に『一階部分』と呼ばれていて、消化器外科・呼吸器外科・心臓血管外科・小児外科・乳腺外科など外科系の専門医を目指す人には必須です。

<呼吸器外科専門医>

呼吸器外科専門医認定機構が認定する専門医です。日本呼吸器外科学会と日本胸部外科学会が別々に存在した認定医制度を一本化して作った現在唯一の呼吸器外科に関する専門医資格で、外科専門医(一階部分)の上に立つ、二階部分に相当します。

『呼吸器外科指導医』と言う資格を見たことがあるかも知れません。これは、『日本呼吸器外科学会認定医』制度を廃止する際、認定医取得者を全員無条件で『指導医』と称して終身資格としたものです。すでに消滅した制度で、何の目的でそうしたかは不明ですが、決して呼吸器外科専門医を指導する立場のものではありません。

同様に日本胸部外科学会が認定していた胸部外科認定医と胸部外科指導医も同様です。何れも消滅した制度ですが、終身資格らしいので名乗ることはできるようです。

認定医や指導医の資格は、厚生労働省の通達で、広告してはいけない項目になっています。広告に使えるのは認められた『専門医』のみです。病院のホームページは広告とはみなされないので、ホームページへの掲載は許されています。ややこしいです。

<気管支鏡専門医>

日本呼吸器内視鏡学会が認定する専門医です。気管支鏡の専門医で、この資格がなくても気管支鏡は実施できます。近年、呼吸器外科医が気管支鏡検査を担当する機会は減ってきたと思いますが、やはり必携の資格の一つです。

<肺がんCT検診認定医>

肺がんCT検診認定機構が認定する資格です。現状は有資格であってもメリットは多くなく、広告できない専門医です。肺がん検診に関する知識向上のためには持っておいて損はないでしょう。

<がん治療認定医>

がん治療、特に抗がん剤治療による治療死が問題になったころ立ち上げられた制度です。日本癌学会や日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会などが、それぞれ立ち上げた制度を一本化して作った認定医制度です。外科医といえども化学療法などに関わることも少なくないので、できるなら取得したい資格で、がん治療全体に関する認定のためか、実際には外科医の取得率が高いようです。これとは別に、癌薬物療法専門医が、日本臨床腫瘍学会により発足しており、こちらは化学療法の専門医です。

いずれ専門医制度は大きく変わります。制度がどのように変わるにせよ、現在の制度との整合性や継続性も、ある程度考慮されるはずです。制度が変わるのを待って取得するのではなく、少なくとも現役の先生方は、これらの現行制度に則って早めに資格取得をし、新制度移行後おそらく提示されるであろう移行処置で、新制度下での資格取得していくことがよいのではないでしょうか。