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呼吸器外科(呼吸器外科診療Q&A(自然気胸 手術篇))

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呼吸器外科

呼吸器外科診療Q&A~自然気胸 手術篇

ここでは自然気胸に対する手術の内容や手術前後の経過などに関して、よく尋ねられる質問とその回答を記述しました。

自然気胸の原因や分類などに関しては【自然気胸Q&A~病気の基本篇】ほかも、併せてご覧ください。

自然気胸の手術に関する質問

Q)手術では、どこをどうするのですか?

A)気胸の元凶となっている病変を、健常と思われる肺の部位で切除する(切り取る)ことで、肺からの空気漏れを止める方法(術式)を第一に考えます。それが難しい場合は、空気漏れしている穴を塞ぐだけの方法を選択します。

原発性自然気胸では、「ブラ」や「ブレブ」と呼ばれている空気のたまった袋状の病変(「気腫性嚢胞(のうほう)」と呼ばれます)が、気胸の原因となっていますので、これを切って取り出す「ブラ切除術(bullectomy[単]またはbullaectomy[複]、ブレブ切除という表現は国内ではあまり使われません)」が、原発性自然気胸治療の代表的手術方法になります。病変を完全に取り出すために、肺の健常部分に切り取り線が当たるようにします。切り取り線は、縫って閉鎖することになりますが、胸腔鏡手術が普及する少し前から、「切り取り」と「縫合」が同時に出来る手術用の器械(自動縫合器じどうほうごうき、ステープラーstaplerと呼ばれます)を使用することが多くなり、現在では、針と糸で縫うことは、少なくなっています。

原発性自然気胸では、病変(ブラ・ブレブ)が発生する要因がわかっていないため、ブラ切除術によって、現存するブラ・ブレブを取り出すことはできても、ブラ・ブレブが発生する要因まで取り出すことはできません。

ブラ・ブレブ以外の肺の病変が破れて起きる気胸を、続発性自然気胸と言いますが、続発性自然気胸の場合は、気胸の原因となった病変によって、どこをどう手術するか変わります。例えば、頻度は少ないものの、肺にできた腫瘍が自壊して穴が開いて気胸になったような場合では、腫瘍そのものを切除します。

続発性自然気胸では、多くの場合、原因となる肺の病変は手術で治すことができません。気胸の元凶となる肺の病変も多数あることが多く、肺に健常部分が見つからないような場合もあります。手術の目的は「空気漏れを止めること」が優先され、肺にできた穴だけをふさぐ手術になることも少なくありません。

Q)内視鏡(胸腔鏡)を使う手術があるのですか?

A)今は自然気胸の治療の大半が、胸腔鏡手術で行われています。

胸部の内視鏡手術は、ブラ切除のために生まれたといっても過言ではないと思います。ブラは薄い空気のたまった袋状の病変ですが、破れれば非常に小さなものです。現代の内視鏡手術は、当初、胆石症の胆嚢摘出術を行うために、普及した技術ですが、これに前後して胸部では、自然気胸に対する胸腔鏡下ブラ切除(きょうくうきょうか-ぶら-せつじょ)が始められ、今日では標準術式としての地位を固めています。この(胸腔鏡)手術は、内視鏡を入れるための創と手術の器械を入れるための創2-3個が、それぞれ1-2センチ前後ですみ、あばら(肋骨のこと)をこじ開けて行っていた頃の手術(開胸手術と呼んで区別しています)に比べ、美容的にも、また術後の疼痛の面からも優れていると考えられています。(疼痛に関しては個人差があります)

胸腔鏡手術のあれこれについては、別項の内視鏡手術Q&Aをご参照ください。

Q)続発性自然気胸は、胸腔鏡で手術できないのですか?

A)当科では、続発性自然気胸であっても、ほとんどのケースで胸腔鏡手術が実施できていますが、続発性自然気胸には開胸手術で行うことを原則としている病院もあるようです。

もちろん、胸腔鏡手術が実施できない場合もありますが、手術する前から胸腔鏡手術ができないと判断できる場合は多くなく、時間をかければ胸腔鏡での手術が可能なことが多いです。時間はかかりますし、出血量も(原発性自然気胸に比べ)多くなることは確かですが、開胸手術へは途中で変更することも可能ですから、デメリットを承知できるなら、胸腔鏡でトライする価値はあると当科では考えています。

Q)手術で肺の穴を塞ぐのではないのですか?

A)穴の周りは脆い病変になっていることが多く、病変を残すと早期に再発する可能性もあるので、可能であれば病変を取るようにします。

自然と破れてしまうくらいですから、穴が開いているところは(例外的に2次的な変性で硬くなっていることもありますが)、脆くて薄っぺらな病変上にあります。塞ぐこと自体が困難という理由もありますが、将来またその病変が破れて発生するかもしれない気胸を防ぐため、破綻した病変を取り除くことがほとんどです。気胸を起こしそうな、薄く脆い病変が、他にもあれば、気胸再発予防という視点から、破綻していない病変も取り去るようにします。ただし、数が多い場合や、安易に取れない場合などでは、病変を取らないこともあります。

Q)病変を取らない方法もありますか?

A)ありますが、二の手、三の手として行われることが多いです。

病変を取る以外に、直接病変に対する手術法として、熱で変性させて固めてしまう方法(焼灼、しょうしゃく)、根元を縛りこんで病変に空気が行かないようにしてしまう方法(縫縮、ほうしゅく)、穴を通して病変内に詰め物をしてしまう方法などがあります。多くの方法と工夫が発表されていますが、やはり病変を健常な肺の部分で切り取る方法が、より確実で再発が少ないとされており、切除以外の方法はいわゆる「姑息的(こそくてき)」手法と捉えるべきでしょう。

このほか、病変には直接タッチしないで行う方法として、癒着療法がありますが、こうした手法も、病変切除できない場合などに代替法として行われるか、切除に加えてより再発を減らそうとするときのやり方です。

Q)手術で取る病変は、1個ですか?

A)1個(1カ所)のこともありますが、複数個所を切除することも多いです。

自然気胸では、特殊なケースを除き、空気漏れしている穴は1カ所です。当然、その穴が開いている病変が1個あるはずですが、それ以外にも、穴が開いてもおかしくないと思われる病変が、肺の表面に認められることがあり、可能な範囲で、それらの病変を切除することが多いです。大きく胸を開けておこなう、いわゆる開胸手術では、何十という病変を1回の手術で処理したということもありましたが、今日主流の胸腔鏡手術では、手術器械の構造上、多数の病変を分けて切除することが困難で、多くても数カ所処理する(1カ所に何個も病変が含まれていることはあります)のが現実的な限界です。

Q)肺に開いている穴は、1個ですか?

A)ほとんどの場合、1個です。

肺から空気が漏れ始めると、肺が虚脱してしまうため、次々と穴が開くようなことはまずありません。2か所以上穴が開いているとすると、かなり特殊な状況や機序を考える必要があります。開いた穴を塞いだあと、別のところに穴が開くようなことはあります。

Q)どこに穴があるか、手術でどのようにして調べるのですか?

A)自転車のパンクを調べる時のように、水に肺を浸して調べます。

手術では、胸腔内に水(生理的食塩水)を適量注入したのち、麻酔医が肺に空気を送り込んで肺を膨らませると、肺に開いている穴から気泡が漏れてくるのが見えます。パンク修理の時と同じやり方です。日本の呼吸器外科医は、この手技を「リークテスト」と言います。この検査方法は、肺を膨らませて行うため、肺を虚脱させて行わなければならない胸腔鏡などの術式では、非常にやりにくく、穴の場所を特定することが難しいことがあります。

Q)手術以外の治療と手術は、どっちが良いのですか?

A)どうしても手術で治さないといけない場合もありますが、その人の立場や考え方によっていろいろです。

絶対に手術がお勧めは(1)大量の出血を伴っている気胸か、(2)肺にあいている穴がほかの治療ではどうしてもふさがらない気胸です。この2つの場合は、ぐずぐずしていると、命に係わる状態になってしまいます。こうした状況を除けば、気胸の治療に、誰にとっても最善といえる方法があるわけではなく、何を重視して治療に当たるかということにつきます。

考慮すべき項目の一つは、治療(入院)期間です。手術が可能な状況であれば、手術をしたほうが、治療期間は短くなることがほとんどです。一方で、「気胸」という状態を治すことは、手術以外の方法でも、ある程度時間をかけてよければ大抵可能ですが、どの程度の期間が必要かは予測できません。「気胸」を治している間に、バイ菌が傷や胸の中に増殖する(化膿、かのう、と言います)と、気胸の治療は二の次となって、化膿症の治療が最優先されるようになります。化膿症の治療は、気胸以上に治療が困難で、時間がかかることが多く、死亡率も高い危険な合併症です。

次の考慮事項は、一度気胸が治った後の再発率です。どの調査を見ても、自然気胸では、手術が一番再発の少ない治療です。手術を回避すると、「気胸」自体が一旦改善したとしても、気胸の原因となった病変は残ります。手術以外の方法で、初回の気胸を治療した場合、半数近い方が再発すると考えられています。(逆に、半数の人は手術せずに治る可能性があるということでもあります。)職種によっては、手術を受けておかないと就職できないこともあります。

若年者が多い自然気胸では、学校生活やスポーツ活動、受験や就職、あるいは入社間もない時期に、初めて気胸となることが多いと思います。気胸は、突然おこり、いきなり入院ということも多いです。ストレスが、気胸の発症に関与していると考えている医師も多く、通説ではありますが、忙しい時や試験前に限って、気胸を起こすとよく言われます。気胸患者となると、生活(飛行機での移動や就職)に一部制限が加わることになります。自分の置かれた状況をよく見直し、今後の自分の生活に合うと思われる治療は何か考え、治療手段を選択してください。

もちろん、手術を受ける場合は、費用と危険性、キズが残ることや痛みについての覚悟が必要です。治療の選択では、今の治療期間と、その後の再発の可能性に加え、治療の重み(体への負担の大きさや危険性)をはかりにかけて検討してください。

Q)輸血が必要ですか?

A)特殊な状況の時を除けば、輸血が必要になることはほとんどありません。

特に原発性自然気胸では、輸血が必要になることは、事前に貧血があるとか、気胸だけでなく血胸を伴っているとかでない限り、滅多にありません。とは言え当科では、どんな手術でも予期せぬ出血に備えて準備はしています。当院では、自然気胸を含め全身麻酔で手術を受ける全員の方に、手術前に、輸血に関する説明を行い、同意書類を頂くことを原則としています。若い男性が多いので、貧血もなく健康な方が多いのも事実ですが、自然気胸の手術をした際に、初めて出血が止まりにくい病気(血友病)がみつかったというケースも報告されています。予想外の出血や輸血というのはどんな手術でもあり得ると考えておくことが必要でしょう。絶対に輸血はしなくて済むということではありません。

続発性自然気胸でも輸血が必要となることはほとんどありませんが、肺の状況によっては出血が多くなる場合もあり、輸血を必要とする可能性は、原発性自然気胸に比べて高くなります。

Q)胸腔鏡手術は、再発が多いのですか?

A)多くの報告で、気胸に対する胸腔鏡手術は、開胸手術に比べて再発が多いとされています。

気胸に対する手術は、胸腔鏡手術の登場で随分体の負担が減ったように思われたのですが、肝心の気胸の治療成績は下がって(再発率としては上がって)しまいました。理由は正確にはわかっていません。今日、気胸手術を開胸で行うことを了とする方はほとんどありませんので、今となっては、正確な比較試験を行うこともできず、疑問は残されたままです。

こうした背景のなか、国内の専門学会では、手術の内容を、気胸の原因病巣を切除するだけでなく、再発予防処置となる手技を加えることで再発を下げること可能であることが、多くの報告で確認され、諸外国でも追試され始めているようです。今後はこうした手技が標準になるものと思われます。

Q)手術は簡単ですか、難しいですか?

A)お答えしにくいご質問ですが、原発性自然気胸に限れば、一般的には難易度は高くないです。1時間程度で終わることが大半で、呼吸器外科で実施している各種の手術の中では、最短に近い時間です。一方、続発性自然気胸では1日かけて手術しても、上手くいかないこともあり、難しい手術となることがあります。

手術の難易度は病変の位置や数、周辺の状況や体格なども関係します。安易に簡単とか難しいとか言うことは控えていますが、ただ、原発性自然気胸では、状況がよければ、病変を取る作業はあっという間で、手順も複雑ではありません。どちらかと言えば、肺の処置より皮膚の傷の縫合のほうに、時間がかかることがあります。当科では、手術自体は1時間程度で終わることが最も多く、麻酔をかけたり麻酔から覚ましたりの時間を入れて、3時間程度の手術室占有時間を目安に、予定を立てています。

一方の続発性自然気胸は、状況はケースバイケースで、穴を塞ぐだけの実質、数分で終わるような手術もあれば、切除する肺が増えたり、出血が増えたり、あるいはもともとの肺の病気が悪くなったりと、大変厳しい手術になることも稀ではありません。

Q)手術で死んでしまうことはありませんか?

A)ないとは言えません。

どのような手術や処置、薬も全く危険のないものはありません。手術用手袋で、体に触れただけで、ゴムアレルギーにより死亡したという事例もあります。原発性自然気胸では、対象が若いこともあって、手術による死亡率(手術後30日以内に死亡した人の割合)は0.1%以下ですが、続発性自然気胸では1%強となっており、同じ自然気胸でも原発性自然気胸の10倍近くあります(日本胸部外科学会調査)。続発性自然気胸では術後30日を過ぎてからの死亡者も少なくないです。

Q)手術を受ける人は、多いですか?

A)全国では1年間に1万5千人近くの方が気胸のために手術を受けているようです。多いか少ないかは分かりません。

日本胸部外科学会が毎年集計しているデータによれば、近年は気胸に対して1万5千件ほどの手術が行われているようです。胸部外科の学会ですので、一般外科や消化器外科で手術された気胸の数字は含まれていないと思いますが、公開されているデータとしてはかなり実数に近いと思います。

Q)手術の前後に、手術以外の治療をするのですか?

A)手術までに気胸の状態を放置できないと判断される場合は、気胸を改善させる目的で、排気(厳密には脱気)の治療をする場合があります。

気胸の手術は、今あいている穴をふさぐことと、次に気胸にならないようすることの二つの目的があります。手術前の時点で穴がふさがっている可能性が高いなら、事前に別の治療を行う必要はありません。穴がふさがっていないか、あるいはその可能性が高い場合は、事前に胸の中から、肺をつぶしている余分な空気を抜くために、胸の中にチューブを入れます。自然気胸の外科治療では、手術のあとに、新たな治療をすることはありません。「気胸」再発予防のために、内服薬を飲んだり、点滴をしたりすることはありません。手術のときに胸に入れたチューブが抜ければ、そこで治療は終わったと考えてよろしいかと思います。

Q)自然気胸の手術の前に、何か特別なことをしておく必要がありますか?

A)一般的な手術と同じです。

両側同時に気胸になっているような場合や、片側の気胸でも重症の状態などの場合は、そのまま麻酔をかけることは、非常に危険ですので、事前に空気抜きのためのチューブを、気胸をおこしている胸の中に入れてから麻酔(手術)を行います。それ以外には、一般的な手術と同じと考えておいてよいでしょう。ご質問やご心配の点があれば、どうか遠慮なく、早めに担当医や病棟のスタッフにお尋ねになるとよいでしょう。

Q)自然気胸の手術では、麻酔科医が重要なのですか?

A)重要です。

呼吸器外科の手術は、心臓と並んで生命維持に大変重要な肺という器官を扱うもので、その麻酔には、十分な修練を積んだ医師でなければ対応できません。心臓手術と違い、人工心肺装置のような複雑で派手(?)な機器を使わないだけに、手術中の管理や異常に対応できるだけの経験や技量が、手術の安全や術後の回復には欠かせません。極言すれば、外科医は、専用の自動器械で、病変を切るだけですが、麻酔科医はそうはいきません。麻酔器を動かすだけでできるような手術ではないのです。誰が手術するか以上に、誰が麻酔するかの方が重要とも言えます。麻酔医が充実している病院を選ぶことは重要です。

Q)自然気胸の手術で、人工心肺を使うことがあるのですか?

A)通常使いませんが、きわめて特殊な病状の気胸手術では、あり得ます。

自然気胸手術での麻酔は、通常手術しない側の肺(対側肺あるいは健側肺と呼びます)を使って、酸素や麻酔ガスを送り込んで行う分離肺換気麻酔法です。対側肺が、十分な酸素を取り込めないと、この麻酔方法が使えません。対側肺を切除したあとで十分量の肺が対側に無いような時や、対側の肺の広範囲に何か肺病変があるようなときは、人工(心)肺を使うことがあります。

Q)手術のあと、何日くらいで退院できますか?

A)当科では、術後3日目が最も多いです。

当科では、ほとんどの自然気胸手術は胸腔鏡手術で実施されています。入院期間を事前に設定して、入院前から退院後の計画を立てることはお勧めしませんが、当科で作成している治療計画では、通常、手術の翌々翌日に退院するようになっており、多くの方がこの計画に沿って退院されています。手術当日や翌日の退院は、安全管理上、お断りしています。もちろん、術前の状態や術後の経過によって、入院期間が異なる場合があるのは、言うまでもありません。

Q)手術が終わってもチューブ(ドレーン)が入っているのですか?

A)当科では、手術翌日までは必ず入っています。翌日以降、大きな異常がないと判断された時点で、チューブが外されます。チューブが取れれば、退院間近です。

手術中、手術側の胸腔には一旦空気(外気)が入ります。手術では、手術側の肺を虚脱させた状態で、病変の処理をします。肺の処理が終わったら、胸腔に入った空気を抜いて、その後に傷を閉じればよいように思われますが、手術で肺を切ったところから、新たに空気が漏れたり出血したりすることがあり、こうした空気や血液、体液を胸に溜め込まないよう手術終了直前に、チューブ(胸腔ドレーン)を入れてから、傷を閉じます。チューブを入れておくことで、見えない胸の中で、どのようなことが起こっているかを知り、同時に手術の際に入った空気を体外に出して、肺を再膨張させます。大きな異常が起きていないと判断されれば、このチューブは取り外されますが、当科では、その判定を翌日以降に行います。手術の前にチューブが入れられていた場合は、新しいチューブに入れ替えられます。

Q)術後は痛くないですか?

A)痛いです。

胸腔鏡で時間も短い手術ですが、やはり痛みはあります。無痛の手術などありません。手術の痛みは、ドレーンチューブが抜けるとかなり楽になり、あとは時間とともに減じていきます。手術直後の痛み軽減のため、当院では、背中の脊髄近くに、痛み止めの薬を術後も入れられるような鎮痛方法(硬膜外麻酔こうまくがいますい)を併用して麻酔が行われますので、手術直後は、想像ほどは痛くないことが多いです。

Q)一度手術を受けた後に再発した場合、もう一度手術は受けられますか?

A)再発していても、手術は受けられます。

肺が完全につぶれてしまっているような場合は、初発再発関係なく、同じような手術で実施することが可能ですが、前治療で癒着療法などが行われている場合、一度その癒着を剥がす必要があり、手術は少し面倒で、時間がかかったり、手術中の出血量も増えたり、肺が(手術操作で)傷ついたりしやすくなります。3回、4回と手術を受けなければならないケースもありますが、徐々に難しくなります。2回目くらいであれば、大丈夫なことが多いですが、経験的に、同じ側の4回目以降の手術はかなり困難な手術で、できれば他の方法を検討して見ることも良いかもしれません。

Q)2回目の手術も胸腔鏡でできますか?

A)多くの場合、可能です。

初回手術で、多くの場合は、胸の中に癒着が起き、癒着は胸腔鏡手術の障害になることが予想されますが、慎重に行えば、胸腔鏡でも癒着は剥離可能です。時間はかかるかもしれませんし、初回に比べれば出血も多少は増えることになります。

Q)気胸の手術で肺を取ると、肺はどれくらい減るのですか?

A)病変の量によって違いますが、原発性自然気胸に対する標準的なブラ切除では、肺全体の容積から見ると、多く見積もっても数%で、ほとんどの例では1%以下(容積にして数~十数㏄程度)ではないかと思われます。

Q)手術した後、体内に金属が残るのですか?

A)チタン製の金属が残る場合がほとんどです。

現在の呼吸器の手術では、ほとんどの手術で、自動縫合器という器械を使います。自動縫合器は、組織を切ると同時に、切断面近くを自動で閉鎖できるもので、手術に革命的変化をもたらしました。糸による縫合ではなく、金属をB字型に変形させることで組織を閉鎖するものです。開発当初はステンレス製であったとのことですが、現在はチタン製です。1個はせいぜい3-5ミリ程度ですが、数十個単位で器械に装着されており、一気に組織を閉鎖します。すでに四半世紀以上の使用実績があり、遺残による生体への危険性はありません。術後にMRI検査を受けても問題ありません。

Q)手術のあと、糸が体内に残るのですか?

A)残る糸と、体内で分解吸収されてしまう糸があります。

手術用の糸として代表的な、絹糸(けんし、シルクの糸です)やナイロン製の糸は、体内に残り続けます。体内に残っても障害はありません。現在は、体内で分解される糸を使うことが多くなっていますが、高価(1本数百円から数千円、患者負担にはなりません)です。分解吸収される糸も分解するまでは、数週間から数か月かかります。すぐ溶けたら、糸で縛る意味ないですから。

当科の手術では、原則分解される糸(吸収糸と言います)を使っています。体内に残る糸(非吸収糸と言います)は、吸収糸より感染が多いということが指摘されていますが、気胸の手術では、問題になることはなく心配要りません。

体表に出ていて、あとから抜糸(ばっし、糸を切って抜くこと)するような糸は、通常、分解しない糸です。安価で、皮膚の外を糸が通るので、抜糸除去できることが理由です。

Q)手術は全身麻酔ですか?

A)全身麻酔です。

肺の手術では、手術しない側の肺だけに空気や麻酔ガスを送って麻酔をかける「分離肺換気麻酔法」が、基本的手法です。手術する側の肺には空気が送り込まれないので、肺は萎んで、その空間を利用して外科医が操作を行います。分離肺換気麻酔は全身麻酔となります。

Q)局所麻酔で、手術を受けられますか?

A)当院では局所麻酔下での気胸手術は実施していません。実施している病院は少ないようです。

局所麻酔より全身麻酔のほうが、麻酔の危険性は高いと考えられていますが、意識があるまま手術が行われる局所麻酔下での手術の苦痛のほうが、デメリットになると私どもは考えております。全身麻酔がかけられないほど状態の悪い方では、やむを得ず、局所麻酔で手術せざるを得ない場合はあります。局所麻酔では、ゆっくり時間をかけて手術を行いにくいという欠点もあります。当科では、しっかり時間をかけて(といっても1時間ほどの手術ですが)、できる限り再発しないような手術を、丁寧に行いたいと考えております。

積極的に局所麻酔下での手術を行っている病院もあります。局所麻酔下での手術を行う、もう一つの目的は、入院期間を短縮することにあります。特に日帰り手術がご希望なら、局所麻酔下での手術を検討されてもよいかも知れませんが、よく利点と欠点を御理解なさったうえで御選択ください。

Q)左右両方の手術を、受けることはできますか?

A)両側の手術は、両側同時でも、片方ずつでも可能です。

普通、両側同時気胸の場合は、まずチューブによる治療が直ちに開始され、肺のつぶれ方がひどいほうから手術を行い、次いで反対側の手術を行うという手順になります。めったにありませんが、両側同時に気胸になって、チューブによる治療が間に合わないぐらい、大量に空気が漏れてくるような場合は、緊急手術が必要になる場合があります。一度の手術で両方の手術をすることは可能です。過去に一側の気胸をおこしていて、今度新たに反対側の気胸をおこした場合(異時性両側気胸)は、初発の手術と同じように手術を行うことが可能です。

Q)一度退院して、改めて長期休暇中に手術を受けることはできますか?

A)気胸が改善した場合は、可能です。

当院では、原発性自然気胸の場合、空気漏れが停止して気胸が改善した後でも、ご希望の日に合わせて手術を実施することが可能です。夏休みや冬休み、有給休暇などを利用して手術を受ける方も多いです。空気漏れがない場合は、今後破れそうな病変を可能な範囲で切除する術式が行われます。

続発性自然気胸の場合は、空気漏れが止まっていると、手術で処置すべき対象の病変がわからないことが多く、当院ではそのような状況下での手術はお勧めしていません。

Q)ロボット手術は、ありますか?

A)自然気胸に対するロボット手術は、認可されていません。

保険診療では認められていないので、自費診療か臨床試験として実施している機関での手術となります。ただ、現時点で、自然気胸の手術に、ロボット手術と言われている装置を使うメリットはないです。

Q)癒着療法を受けたことがありますが、手術できますか?

A)可能ですが、時間はかかります。

外科医の本音で言えば「やりにくい」手術になります。癒着があると、通常はその癒着を一度解除してからでないと、気胸自体の手術は大変やりにくく、不完全なものになりがちです。癒着を剥がすと、出血もしますし、剥がす操作自体で、肺に穴を開けることにもなります。時間と根気が必要になる手術です。

Q)手術による癒着療法とは、どんな方法ですか?

A)肋骨側の胸膜を意図的に切り取る方法、肋骨側の胸膜を強く擦って炎症を起こす方法、胸膜表面に炎症を起こす素材を張る方法や、タルクなどの薬物をまく方法などがあります。

癒着療法とは、肺とあばらの壁の間に何らかの手法を用いて炎症反応を誘発し、反応による組織修復過程を促進させて、肺の穴をふさぐ助けにすると同時に、肺とあばらの間の隙間をつぶしてしまおうとする治療方法を言います。組織修復過程で、本来は離れている肺と胸壁の間に、組織が造成され、両者は組織で繋がれてしまいます。いわゆる「癒着」です。肺の表面に炎症が及ぶような手技がいろいろ考えられていますが、代表的な方法は、壁側胸膜(あばら側の胸膜)切除法と言って、壁側胸膜をはぎ取ってキズにしたり、胸膜擦過法と言って、金属のブラシで壁側胸膜を擦ってキズをつけたりする方法です。直接、胸腔内に薬を散布する方法もあります。今、国内では、生体内で分解吸収されてなくなる手術用の縫合糸を、網状に編んだネットを肺の表面に固定する方法が、手術中に行う癒着療法の代わりとして行われており、大変良い効果を上げています。

Q)癒着療法が手術後の再発予防になるのですか?

A)なります。

気胸の基本手技は病変切除(ブラ切除)ですが、古くから癒着療法を併用すると、術後の再発率を下げることが知られています。ただ、胸膜を切除したり擦ったりする方法は効果が不確実で、薬物による癒着療法は逆に痛みや発熱などの副作用が激しく、実施することが躊躇われるようなものでした。20年ほど前に、吸収性メッシュ(生体内で分解吸収される特殊な外科用素材を網状に編んだもので、手術用の組織補強材として使われます)を、ブラを切除した後の肺の表面に固定する方法が、手術で肺を切ったところからの空気漏れを防ぐ方法として使われるようになりました。当科では、このメッシュをやや大きめに貼るようにすると、術後の空気漏れのみならず、術後の気胸再発を大きく抑制できることを見出しました(Surgical Endoscopy誌2009)。従来の癒着療法に代わる方法として、当科では、現在この方法をお勧めしております。この方法は、時に発熱を見ることがあるものの、全身状態に影響せず、癒着療法の欠点である疼痛を伴いません。実施に要する時間も1~2分です。最もブラの発生しやすい肺の部分だけに癒着を誘導できます。この方法を採用して以降、術後の再発率は、ブラ切除だけの胸腔鏡手術に比べ1/4近くまで減り、開胸手術時代の再発率に近づきました。

Q)肺からの空気漏れが止まりましたが、やはり手術をした方がいいのでしょうか?

A)今後の再発の可能性を、どう考えるかで判断して下さい。

気胸の手術は、(1)今あいている穴をふさぐことと、(2)次に気胸にならないようすることの二つの目的があります。空気漏れになっていた穴はふさがったことになりますが、穴があく原因となった病変(多くは『ブラ』と呼ばれる病変です)は、おそらくそのままの状態です。手術でその原因病変を取り去ることができれば、再度気胸を起こさずにすむかもしれません。気胸の手術の目的の2番目にあたり、厳密に言えば気胸治療の手術ではなくて、『ブラ』を処理しておく気胸予防の手術になります。

原発性自然気胸では、このような考え方、つまり、将来の気胸発生の可能性を減らす目的での手術がよく行われ、9割近い方が再発せずに暮らすことが可能になっています。特に若い方では、一旦、空気漏れが止まって退院した後、夏休みなどの長期休暇を利用して、『ブラ』処理の手術を受ける方も多いです。

続発性自然気胸の場合は、気胸の原因病変が手術ですべて処理できないため、気胸再発予防の効果は随分下がってしまいます。手術の目的と治療効果の予測をよく確認されたうえで、検討されるのがよろしいでしょう。

Q)巨大肺嚢胞(ジャイアントブラ)と言われましたが、気胸の手術を受けた方がよいですか?

A)気胸を起こしたことがない場合は、必ずしも気胸予防のための手術は受ける必要はありません。巨大肺嚢胞が呼吸困難をきたすほど大きい場合は、嚢胞切除(縫縮)術を受けた方が良いです。

ブラが大きくなって、健常な肺を押しつぶしてまで大きくなってしまっているものが「ジャイアントブラ」と外科医が呼んでいるものです。普通、ブラは、肺の表面にポリープのようにできて、肺の外側で大きくなるのですが、ジャイアントブラでは肺の内向きへの広がりが著明で、大きくなる割に破れにくい(気胸になりにくい)とも考えられています。ジャイアントブラを手術で取り去るのは、押しつぶされた健常部分の肺を、元の姿に戻してやることが主な目的で、気胸の予防という目的ではありません。ジャイアントブラが原因で、呼吸困難(ひどい場合は血管や心臓まで押しつぶされて上半身がうっ血して顔が腫れ上がるようなこともあります)があった場合、嚢胞切除や縫縮などの手術の効果は大きいとされていますが、10年20年と経過すると、残った肺の中からまた大きなブラができることがある、という欠点があります。

Q)手術のあとは、運動しても大丈夫ですか?

A)当院では、気胸の術後に運動制限はしておりません。気胸の術後である事を理由に、運動を回避する必要はありません。どちらかと言えば、術後のキズの痛みで、すぐにはそう激しい運動をされる方は多くありません。

運動することで気胸の再発が増えることはないと考えられています。手術直後は傷の痛みもあり、退院後すぐに、スポーツ活動といえるような運動をされる方は、実際にはほとんどないようです。プロスポーツ選手でも気胸の経験者はいます。手術後2-3週間過ぎれば、プロスポーツに復帰できたという報告はあり、報告はされていないまでも、術後早々に現場に戻る人はあると思います。復帰直後に治療前と同様のパフォーマンスを発揮できたかどうかはわかりませんが、自然気胸の場合、多くの人は、おそらく時間がたてば、手術前と変わらない状態になると思われます。具体的に、どの程度の運動が、どれくらいの期間できないのかできるのか、詳しく調べられた科学的データはありません。術後1~2か月経過すると、ほとんどの方は、ほぼ術前と同じ活動量に戻るようですが、痛みはまだ少しあると思います。

Q)手術のあとは、何を食べても大丈夫ですか?

A)気胸と食べ物にはまったく因果関係はありません。特別な配慮は必要ありません。

Q)手術のあとは、タバコをすっても大丈夫ですか?

A)絶対にいけません。

もう説明は不要でしょう。

Q)手術のあとは、旅行しても大丈夫ですか?

A)気胸が手術で完全に治っていれば、旅行しても大丈夫です。旅行自体が気胸の再発を増やすことはありません。

術後2年とくに術後半年以内は、術後の再発が多い期間です。気胸を疑わせるような症状がある場合は、必ず医療機関で気胸になっていないか確認して、旅行に出ましょう。特に旅行で飛行機に乗ったり、水中を潜ったりするときは注意が必要です。気胸の状態の人(=気胸を発症している状態の人)が、航空機やスキューバダイビングなど気圧の変動が激しい環境に入れば、(理論的に)気胸は悪化します。下の質問と回答や自然気胸と生活Q&Aの項もご覧いただき、判断の参考にして下さい。具合が悪い時に、いつでも医療機関を受診できるような旅行(陸上を移動するだけの旅行)であれば、多くの場合、問題はないと思われます。

Q)手術のあとは、飛行機に乗れますか?

A)搭乗時に肺が縮まない状態で安定していると判断できるなら、飛行機に乗ることは問題ないと思われますが、手術直後に判定することは難しく、しばらくは控えるほうがよいでしょう。(気胸と飛行との関係については別頁の自然気胸と生活Q&A篇もご覧ください)

米国の航空医学の学会や英国胸部疾患学会のガイドラインでは、手術を受けたのちに飛行機に乗ることは可能としていますが、術後どの程度の時期から良いかについての目安については、よくわかっていません。

気胸に限らず、肺疾患がある方は、利用する航空会社に、搭乗の数日前までに一度お問い合わせされた方がいいと思います。会社ごとに規定があり、搭乗可能かどうか、搭乗するならどのような手続きが必要かなど対応してもらえます。

Q)手術あとに、ダイビングはできないのですか?

A)安全を期すため、スクーバダイビングは許可されないことがほとんどです。(別頁の自然気胸と生活Q&A篇もご覧ください)

論上、潜水中に気胸を起こすと浮上が困難になります。日本高気圧環境・潜水医学会や日本気胸嚢胞性肺疾患学会などでは、ダイビング中の気胸発症報告が時々あります。スクーバーダイバーのためのメディカルチェック・ガイドライン(日本語版RSTC(Recreational Scuba Training Council))では、自然気胸は危険性が高い生命の危険を起こしうる疾患として記述されています。

Q)気胸の手術をうけると、就職や仕事に影響がありますか?

A)手術を受け病状が安定していれば、過去に気胸があっても問題ないことが多いですが、手術を受ければ絶対大丈夫ということではありません。

パイロットや自衛官の身体検査では気胸の場合、手術後で病状が安定していれば、身体検査合格の要件を満たせる可能性があります。高圧作業の規定(高気圧作業安全衛生規則)では、(具体的に気胸術後を指定していませんが)同様の対応になると思われます。(別頁の自然気胸と生活Q&A篇もご覧ください)

気胸の可能性は、手術をしていない側にも相応の可能性で残っています。手術しても、気胸が再発してしまうこともあります。手術すれば気胸と無縁になるのではありません。術後であっても、特殊な気圧環境での勤務中に気胸になる可能性はゼロではありません。自分ばかりか周囲の人にも、リスクを負わせることになりかねません。特殊な気圧環境での就業は避けておくのが無難です。

Q)気胸の手術のあと、いつから仕事できますか?

A)業務内容によって違いますが、PCなどでのデスクワークで済むなら翌日から可能です。

ほとんどの気胸手術では、翌日にはほぼ手術直前の状態に戻ります。もちろん痛みはありますので、まったく同じようには行動できません。ベッド上でPC操作だけで仕事ができるなら、翌日から可能な場合はあるでしょう。手術の後は、チューブがまだ付いた状態ですので、これが取れれば、ほぼ行動制限もなくなり、痛みさえ問題なければ、ほとんどの仕事に復帰可能です。傷の小さい胸腔鏡手術でも、実際には相応の痛みがあり、直ちに活動量の多い仕事や、体力を要する業務に復することは難しく、術後1~2週間程度は、自宅で療養されてからのほうがよいでしょう。

鎮痛剤を服用した場合、車の運転や機械の操作をすることは禁じられています。当科では、就業開始は鎮痛剤が不要になったら、とお話ししています。

Q)手術すれば、もう再発はしませんか?

A)再発の可能性は低くなりますが、再発することはあります。

少しでも再発が減るように、手術手技には工夫が加えられてきましたが、今の医療技術では、術後再発を完全になくすことはできません。自然気胸の手術は、そもそも病変の発生を防止するものではなく、すでに発生した病変を処理するだけなので、根本の治療にはなりえないのです。近年の調査を見る限り、特に胸腔鏡の手術では、手術後も、ある一定量の再発があることを前提にしておく必要があります。

術後は、反対側の気胸にも注意してください。多くの気胸では、両側に病変があることわかっており、手術とは反対側にも気胸が発生します。

Q)若いほうが、術後も再発しやすいのですか?

A)どの調査でも、10代や20代前半で気胸になった人のほうが、再発が多い結果が出ています。

術後の再発を起こし易い要因は、まだよくわかっていませんが、統計上、気胸になった時の年齢が若い人の方が、再発の割合が高いことが指摘されています。

Q)続発性自然気胸といわれました。手術した方が良いですか?

A)当科では、続発性自然気胸では、手術以外の治療で治るのであれば、可能な限り手術以外の方法で治療するようお勧めしています。

続発性自然気胸は一つの病気ではありません。いろいろな病気によって引き起こされます。気胸の原因になっている病気の種類によって、手術の方法は変わります。中には、女性特有の子宮内膜症という病気が原因で、おきることもあります。共通部分としては(空気が漏れ続けている場合は)、空気漏れをとめる手術がおこなわれますが、「原発性自然気胸」と呼ばれているものと違って、気胸の原因となり得る病変が多発していることが多く、手術に気胸再発予防効果はあまり期待できません。一度、原因病変を調べた上で、手術の適否をお決めになった方がよろしいでしょう。

Q)術後、再発しないように気を付けることはありますか?

A)努力して再発を減らすことはできません。

何かを鍛えたり、何かを食べたりすることで、気胸の発生を予防することはできません。ただ、喫煙はしないでください。普段は再発のことを意識せず、いつも通りの生活をしてください。

Q)再発したかも?

A)慌てず、近くの医療機関を受診して下さい。余裕があれば、手術をした病院へ連絡して見てください。

気胸の治療を受けたことがあり、気胸の再発を心配していることを、担当医に伝えてください。急速に呼吸が苦しくなって行く場合は、救急要請してかまいません。遠隔地で症状があるなら、飛行機などでの移動は避けます。まず、近隣で医療機関を探し、レントゲン検査を受けましょう。国内の医療機関で、少なくとも内科か外科のクリニック・病院なら、大概レントゲン撮影できます。とりあえず、診断ができれば、その医療機関が初期治療してくれるか、治療できる近隣の病院へ紹介してくれるはずです。初期治療ができれば、居住地に戻ってその後の治療を受けることが可能です。手術をした病院が近ければ、まずその病院へ連絡することが良いかもしれません。

Q)管(チューブ、ドレーン)を入れるだけの治療も、手術になるのですか?

A)医学的には手術に分類しませんが、医療保険などでは手術として扱われる場合があります。

保険会社と契約する医療保険では、「皮膚に切開を入れる行為」は、すべて手術として扱うことがあるようです。一般に、医学では、チューブやカテーテルなどを体内に留置するため、皮膚に短い切開を入れることは、手術と呼びません。知る限り手術の医学的定義はないと思いますが、概ね全身麻酔や脊髄麻酔などの麻酔を要する切開行為(観血的治療かんけつてきちりょう)を伴う手技を、手術と呼んでいると思います。

Q)手術はいくら(金額)かかりますか?

A)胸腔鏡で自然気胸の手術をした場合、手術料は40万円程度です。ただし、この金額は支払う金額ではありません。

この金額は、手術にかかわる麻酔料などは別で、手術料と呼ぶ「手術の料金」に相当するものです。自然気胸に対する胸腔鏡手術は、国民皆保険の保険診療として認められていて(いわゆる「保険がきく」治療です)、その手術料は一律に規定されています。手術時間、外科医の人数、手術の上手下手、使用した材料費とは関係なく、全国同一金額です。(一部の最新器械材料については、追加料金がかかることがあります。)

手術をした場合、入院全体として医療費がかかります。手術料や麻酔料、さらに入院やその他の費用を足した総額になり、数十万円程度になることもあります。ただ、保険診療ですから、自己負担額はその3割あるいは1割です。実際に病院の会計窓口で払う金額としては10~20万くらいではないでしょうか。多くの場合、高額療養費制度が適用されますので、さらに実費負担は減ります。限度額適用認定証を事前に用意し病院に提出しておけば、退院時の実費負担はかなり減額されると思います。医療保険に加入していれば、さらに補填があるかもしれません。

医療費は、手術の方法や入院期間、手術前後の診療内容、入院期間が月をまたぐかどうか、保険改正など多くの要因によって変わります。勤務先や加入している保険組合、契約している保険会社などにも問い合わせてみるのがよいと思います。当院には医療費に関する相談窓口がありますので、ご利用ください。