診療科・部門紹介
臨床工学室
概要
当院は病床数550床の地域中核病院です。東京都と埼玉県の県境に位置し、三次救急医療を展開しています。臨床工学室はスタッフ12名(内、女性3名)で日々の業務をローテーションして行っています。
業務内容は日本臨床工学技士会臨床工学技士基本業務指針に準じて行っており、医療機器中央管理部門、心・血管カテーテル室部門、血液浄化療法部門、人工心肺部門、手術室部門、不整脈治療関連部門、呼吸治療部門に分かれ業務を行なっています。
2018年11月より新館増設に伴い病床数も増加し、2021年度より三次救急も行うようになりました。各業務の症例数増加・医療機器の高度化により、院内での臨床工学技士の求められる場面も多くなり、今後も更なる発展が見込まれます。また、当院では24時間365日緊急対応ができるように宿直体制をとっています。2年目以降からの宿直が行えるよう教育をしており、現在12名のスタッフが宿直を行っています。
医療機器中央管理部門
医療機器中央管理部門では、管理医療機器が患者さんに安全に使用されるように保守・点検・修理・不具合対応等を行っています。
新棟増設に伴い管理医療機器も増え、現在3000台ほどの医療機器を管理しています。
1日の貸し出し台数は約100台近くあり、ほぼ同数の機器が各病棟から返却され、返却された機器を保守点検・修理を行っています。これらの台数の医療機器を円滑に管理するために、医療機器管理システム「CEIA」を用いて運用しています。
また、医師や看護師向けに定期的に勉強会を行い、質の高い安全な医療提供を求めて行っています。
貸出室
業務風景
院内勉強会の風景
主要管理機器
名称 | 保有台数 |
---|---|
輸液ポンプ | 460台 |
シリンジポンプ | 330台 |
人工呼吸器 | 31台 |
ハイフロー | 28台 |
IABP | 2台 |
PCPS | 3台 |
除細動器 | 21台 |
AED | 8台 |
マシモSpO2モニタ | 90台 |
超音波ネブライザー | 60台 |
フットポンプ | 60台 |
2022年4月現在
心・血管カテーテル室部門
心臓や下肢の血管を診断・治療する、心・血管カテーテル室部門は循環器内科医師を中心に看護師・診療放射線技師・臨床工学技士でコミュニケーションを取り、チームで治療に挑んでいます。
臨床工学技士は主にポリグラフによる循環動態の監視・記録や、治療に必要なデバイスの準備・操作を行っています。また、医師のセカンドとして清潔野に入りデバイスの準備・操作介助を行っておりカテーテル治療に積極的に参加しています。
循環動態が不安定な場合は心臓機能を補助する補助循環装置(IABP・PCPS)を挿入する場合があり、それらの補助循環装置の操作も行っています。最近は、血管造影と併用して各種診断装置(IVUS・OCT・FFR)を用いての治療が標準となっている為、それらの装置の操作も担っています。医師と連携を取り意見交換をして、患者さんにより良い医療を提供できるように努めています。
また、急性心筋梗塞などの急性冠症候群に対して、緊急カテーテルを24時間365日受け入れできるよう体制を取っています。
業務風景
心臓以外にも、下肢動脈に対する
EVT(末梢血管形成術)も行っています。
カテーテルアブレーションも行っています。
補助循環装置の導入と管理
三次救急医療が開始され補助循環の症例数も増加しています。
症例実績
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2020年度実績 CAG 581件 PCI 350件 EVT 53件 IABP 26件 PCPS 4件 -
2021年度実績 CAG 487件 PCI 285件 EVT 41件 IABP 27件 PCPS 12件
血液浄化療法部門
血液浄化部門は血液透析療法(HD)・持続的血液濾過透析療法(CHDF)・血漿交換療法(PE)・二重濾過血漿交換療法(DFPP)・血液吸着療法【エンドトキシン吸着(PMX)、LDL吸着、顆粒球吸着(G-CAP)】・腹水濾過濃縮再静注療法(CART)を行っております。
当院では入院中の透析患者さんへの透析・腎機能低下患者さんへの透析を行っており、各種疾患に対するアフェレーシス治療にも対応しています。最近では三次救急が開始され緊急血液浄化にも力を入れて行っています。
また、2019年に腎センター開設により、外部からの受け入れ人数が増加しました。幅広い血液浄化対応が求められるため、スタッフ間での情報交換を密に行い、安心安全な腎センターを目指しています。
血液浄化部門の積極的な取り組みとして、治療中における患者さんとの会話より容体の変化の早期発見・信頼関係の構築を意識しており、院内ICT(感染対策チーム)指導のもとの高水準の感染対策や、安全かつ確実な治療のための血液浄化関連装置の点検に力を入れて日々業務を行っております。
腎センター
業務風景
ICUでの持続的血液濾過透析療法(CHDF)
CARTにおいて当院では術中に腹水を回収し
その後処理する【術中CART】も行っています。
症例実績
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2020年度実績 HD 289件 CHDF 257件 アフェレーシス 31件 CART 34件 -
2021年度実績 HD 404件 CHDF 186件 アフェレーシス 17件 CART 21件
人工心肺部門
心臓の手術をする際に、心臓を止めなければ行うことができない手術があります。この時に、その心臓の働きを代行する器械が人工心肺装置です。
私たちは、この人工心肺装置の準備や操作・手術中の状態観察(血液検査や電解質のバランスなども含む)や水分バランスの調整なども行います。
その他に、心臓や肺が弱っている患者さんに対し、病棟やICUなどで行なわれる簡易的な人工心肺(PCPS)や、心筋梗塞や狭心症などの際に、心臓の血管(冠動脈)に血液が流れやすくする装置(IABP)の操作や超音波血流計・自己血回収装置・心筋焼却装置などの周辺機器の操作も行います。
当院では体外循環技術認定士が4名在籍し業務に携わっています。
また、低侵襲心臓手術(MICS)も行っており、緊急手術を24時間365日受け入れています。
手術室
業務風景
人工心肺勉強会
症例実績
2020年度実績 | 2021年度実績 | |
---|---|---|
人工心肺症例 | 77件 | 77件 |
手術室部門
手術室では、様々な診療科による手術を全11部屋(外来手術室2部屋含む)にて年間約7000例行っています。手術室で使用する医療機器は日々進歩を続け、多種多様な高度化された機器へと変わってきています。そんな多種多様な医療機器に対応すべく、当院では臨床工学技士が手術室に常駐しており、業務に従事しております。管理を行っている医療機器は、麻酔器・各種生体情報モニタ関連装置・内視鏡装置・電気メス・レーザー装置・ナビゲーション・眼科手術装置など多数あります。また、眼科手術装置のセッティングや中心静脈カテーテル・スワンガンツカテーテル挿入介助などの清潔操作も行っております。
臨床工学技士の業務範囲追加に伴い内視鏡操作するスコピストも行っています。
私たち臨床工学技士は、機器の準備・トラブル対応などを行い、安全で質の高い医療が提供できるよう努めています。
業務風景
腹腔鏡下手術のセッティング
スコピスト風景
ナビゲーションの操作
清潔野での眼科手術装置の
セッティング
不整脈治療関連部門
ペースメーカーとは脈の遅い患者さんに対して、リード線を心臓の心房・心室に留置し、本体から心臓を刺激し脈拍を担保する医療機器です。業務内容は、外来業務、デバイスの新規植込み・交換手術、電気メス使用・放射線治療・MRI撮像時の立ち合いと多岐に渡ります。また、植込みデバイスの進歩は目まぐるしく、植込み型心電計(ICM)やリード線を用いないリードレスペースメーカー、デバイスの遠隔モニタリングなどの最新技術にも対応しております。
外来業務では対話を意識しており、患者さんの不安を吸い上げ、医師とのコミュニケーションを取り、より良い設定を模索することを意識してデバイスチェックを行っております。
業務風景
ペースメーカー外来
ペースメーカー新規植え込み手術の風景
2020年度実績 | 2021年度実績 | |
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ペースメーカー手術 | 66件 | 76件 |
呼吸治療部門
当院では人工呼吸器の保守・点検、院内ラウンドを毎日行い、正常に呼吸器が作動しているか確認しています。RST(呼吸ケアサポートチーム)による呼吸器ラウンドも週1回行っており、人工呼吸器を装着している患者さんや、呼吸管理が困難な患者さんに対し、多職種チームを形成して呼吸状態の確認や治療のサポートを行なっています。
また、在宅呼吸器・在宅酸素の導入なども行っております。患者さん・患者家族・看護師に使い方をレクチャーし、患者さんが退院した後にも自宅で機器が安心安全に使用できるよう説明を心掛けています。
業務風景
人工呼吸器ラウンド
呼吸治療業務