• 診療科・部門紹介

眼科

概要

2つの手術室を並列で運用して、毎日多様な疾患の臨時・緊急手術を行っています。
日帰り白内障手術の拡充や、角膜専門外来を開始しさらに幅広いニーズに応えます。
また研修基幹施設認定も取得し、後進の育成にも力を入れております。

眼科は2022年4月より、細田部長、岡本医長の新体制となっております。11名の常勤医師(渋谷、橋本、清水、南雲、中山、奥山、里見、秦、常吉、岡本、細田)と1名の非常勤医師(尾関:緑内障外来担当)で診療にあたっています。
2022年度の総手術件数は約2110件であり、毎年増加しています。複数名の網膜硝子体手術医による速やかな受け入れと対応が可能となり、平日はほぼ毎日網膜剝離や水晶体落下などの緊急度の高い手術を実施しております。また、2つの手術室を用いて並列手術を行っているため、白内障・緑内障などの定期手術の待ち期間は約1ヶ月程度と短縮され、現在は日帰り白内障手術の件数も増加しております。硝子体内注射は月~金曜日に注射担当医を設置し、状況に応じた種々の薬剤の選択を行っております(ルセンティス、アイリーア、ベオヴュ、バビースモを採用しています)。
当科の手術は白内障、緑内障、硝子体手術のすべてを小切開手術で行い、硝子体手術に関しては疾患に応じて25G,27Gカッターを使い分けております。緑内障手術は細田部長を筆頭にMIGS(極小切開緑内障手術) を多数行い、難症例に対しては保存強膜によるインプラント(チューブシャント)手術も行っております。選択的線維柱帯光凝固装置(SLT)によるレーザー治療からインプラントまで、まさにフルコースの緑内障治療が可能です。
また、眼光学・屈折矯正専門の常吉医師が多焦点眼内レンズ白内障手術に積極的に取り組んでいます。選定療養による多焦点眼内レンズと保険適応の分節型眼内レンズを用いて手術を行っております。去年度より秦医師が角膜専門外来を立ち上げました。角膜疾患にも積極的に対応しております。
当院での手術日は月曜午後(並列)、火曜午前午後、水曜午前午後(全日並列)、木曜午前午後、金曜午前午後です。各種疾患で経過や治療上のお悩みがあればぜひ当科にご相談ください(各医師が全ての疾患の初期対応を行っておりますので、ご希望が無い限りは特定の医師宛ての紹介は必要ございません)。
当科は眼科研修基幹施設認定を取得しましたので、各連携施設(慶應義塾大学、埼玉医科大学)と協力しながら、後進の眼科医の教育にも力を入れております。これからも病診連携の徹底に則り、地域医療連携をさらに積極的にすすめて参りたいと存じますので、今後とも埼玉病院眼科をどうぞよろしくお願い申し上げます。

白内障手術

白内障手術は侵襲の少ない小切開による手術を行っております。最新の機器を導入することによって、より精度と安全性の高い手術を患者さんに提供できるようになりました。

眼内レンズについては、小切開で使用可能な安全性の高い最新のレンズを採用しています。糖尿病や眼底疾患のある症例には光学径の大きな7mm眼内レンズを、乱視の強い症例にはより良好な裸眼視力が得られるように乱視矯正レンズを選択することが可能です。

その他、白内障術後に生じてくる後発白内障に対するYAGレーザーを用いた治療や、眼内レンズ偏位・眼内レンズ落下に対する眼内レンズ縫着術、近年世界的に注目を集めている眼内レンズ強膜内固定術にも対応しております。

また、老視矯正眼内レンズ(多焦点眼内レンズ)を用いた白内障手術も行っております。

多焦点眼内レンズとは、レンズの焦点が複数あるもののことです。通常のレンズでは焦点が1つなので焦点の距離以外はピンボケになり眼鏡が必要となりますが、多焦点眼内レンズでは焦点を複数設けることで、生活の中で眼鏡の使用頻度を減らすことが期待できます。ただし、複雑な形状のレンズとなることで、通常のレンズよりは見え方の鮮明度が落ちる・暗いところで光がにじんで見えるなど、一定のデメリットがあることも事実で、適応となるかどうかは十分な検査と、知識と経験に基づいた判断を要します。

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は2008年に先進医療として承認されて以降、高齢になってもスポーツや仕事を続けてアクティブな生活を送りたいと希望する方の増加に伴い年々需要が高まっています。これをうけて、2020年4月からは選定療養制度の対象となりました。

選定療養制度では、通常の保険適応のもとで保険診療として白内障手術を受け、多焦点眼内レンズを使用することによる追加費用のみ自己負担として治療を受けることが可能になりました。

当院では、近年注目されている焦点深度拡張型眼内レンズや3焦点眼内レンズ、乱視矯正機能もついた多焦点眼内レンズを用いて、多様な生活スタイルに合わせたニーズに対応することを可能としています。

緑内障手術

緑内障手術では、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)だけではなく、近年注目されている低侵襲緑内障手術であるフックを用いた線維柱帯切開術(マイクロフックロトミー)も取り入れています。また、病状の進行した患者さんにはインプラントを用いた緑内障手術を行うことも出来ます。各々の患者さんの眼の状態に合わせて、より安全でより大きな眼圧下降効果を期待できる手術方式を提案させていただくことが可能です。詳しくは下記をご参照ください。

網膜硝子体手術

硝子体手術は、網膜剥離・糖尿病網膜症・硝子体出血・黄斑上膜・黄斑円孔など様々な疾患に対して、全例で25G小切開手術により低侵襲の手術を行っております。網膜硝子体手術担当医も増え、年々硝子体手術の件数も増加しております。詳しくは下記をご参照ください。

角膜手術

角膜移植は、全層角膜移植(角膜のすべての層を移植する方法)だけではなく、角膜パーツ移植(にごりや障害されている部分のみを移植する方法)も行っています。患者さんの目の状態にあわせて手術方法をご提案させていただきます。詳しくは下記をご参照ください。

最後に

埼玉病院眼科はより安全で、より質の高い医療を提供できるよう取り組んでおります。
目についてお困りのことがありましたらぜひご相談ください。

※当院の眼科を初めて受診されます方は、おかかりつけの眼科医院からの紹介状をお持ちの上、ご予約をしてから来院していただけますようお願い申し上げます。お手数をおかけしますがご協力をよろしくお願い申し上げます。緊急の場合はまずお電話にてお問い合わせください。

スタッフ紹介

職名 氏名 専門医・認定医等 専門分野
部長 細田 進悟 日本眼科学会専門医
身体障害者福祉法指定医
緑内障、網膜硝子体
医長 岡本 知大 日本眼科学会専門医
身体障害者福祉法指定医
網膜硝子体
医師 常吉 由佳里 日本眼科学会専門医 眼光学、網膜硝子体、
緑内障
医師 秦 未稀 日本眼科学会専門医 角膜、網膜硝子体、
緑内障
医師 里見 真衣子 日本眼科学会専門医 眼科一般
医師 奥山 翔 日本眼科学会専門医 眼科一般
医師 中山 佳純 日本眼科学会専門医 眼科一般
医師 南雲 美希 眼科一般
医師 清水 裕介 眼科一般
医師 橋本 青葉 眼科一般
医師 渋谷 彩乃 眼科一般
医師
(非常勤)
尾関 直毅 日本眼科学会専門医 緑内障

外来初診担当医表

完全予約制 ・・・

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
岡本
(網膜硝子体外来)
細田(進)
(緑内障外来)
常吉 細田(進)
(網膜硝子体外来)
常吉 清水(裕) 岡本 南雲
奥山 南雲 橋本(青) 尾関
(緑内障外来)
橋本(青)
渋谷 清水(裕) 中山 奥山 渋谷
中山
受付時間8:30〜11:00(平日 月~金曜日)

※ 当院はすべての診療科が予約制の診療となっております。(初診紹介予約制)
※ 当院での診察順は予約の患者さんが優先となっております。予約をしていない場合は、待ち時間でご迷惑をお掛けしますがご了承ください。
※ 来院をされた日に予約をしていない場合は、受診できない場合があります。
  また、受診できる場合でもお待ち願う時間が長くなることが予想されますので、あらかじめご了承ください。

  • 網膜硝子体外来 arrow_forward_ios

  • 網膜硝子体外来は、網膜剥離・糖尿病網膜症・硝子体出血・黄斑上膜・黄斑円孔・加齢黄斑変性などの疾患を対象として治療、診察を行います。

    網膜は眼球の一番奥にある組織で、目の外から入ってきた光を受け止めて、その刺激を電気信号に変換して脳に届ける役割を果たしています。カメラで例えるならフィルムに相当します。網膜が障害されると、視力低下の他、飛蚊症(黒いゴミのようなもの)が増えたり、視野の一部が欠けたり、物が歪んで見えるなどの症状が出現します。

    網膜剥離

    網膜は10層の組織から構成されていて、最も深い部分を網膜色素上皮と呼び、その上には光の刺激を脳に伝える神経網膜があります。網膜剥離とは、何らかの原因でこの神経網膜が色素上皮から剥がれる病気です。網膜剥離はその原因により、裂孔原性網膜剥離と、非裂孔原性網膜剥離にわけられます。

    裂孔原性網膜剥離は、網膜剥離の中で最も多くみられるものです。網膜に孔が開く主な原因として、加齢や外傷などがあります。眼球の中は硝子体という粘稠で牽引性の強いゼリー状の物質で満たされていますが、加齢によってこの硝子体の性状が変化することで、網膜が牽引されて孔(網膜裂孔)が開いたり、若年者では近視に伴う網膜の変性部位や外傷による直接のダメージで孔(円孔)が開くことがあります。目の中にある水分がその孔を通って網膜の下に入り込んでいき、最終的には網膜が剥がれてしまいます。特に強度近視の人でより多くみられます。どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが、若年者と中年者の人に多いといわれています。

    非裂孔原性網膜剥離には、牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。裂孔原性網膜剥離と同様に網膜剥離が起きた状態ですが、なにか別の病気に続発して起きることが多く、様々な疾患が原因となります。牽引性網膜剥離は重症の糖尿病網膜症などでみられます。滲出性網膜剥離は腫瘍やぶどう膜炎などでみられます。

    裂孔原性網膜剥離の治療では、裂孔と網膜剥離の程度次第で、レーザー(網膜光凝固術)か網膜硝子体手術かどちらかの方法が用いられます。裂孔があっても網膜剥離が進行していない場合は外来にてレーザー治療を行います。網膜剥離が進行している場合は、入院して手術が必要です。若年者であると網膜復位術(強膜バックリング)、中年者以降の年齢であると硝子体茎顕微鏡下離断術が選択されることが多いです。

    非裂孔原性網膜剥離の治療には、そもそもの原因となる病気の治療が必要であり、眼に対しては、炎症を抑えるステロイドテノン嚢下投与を行ったり、必要があれば手術をすることもあります。

    糖尿病網膜症

    糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症と呼ばれており、中途失明の原因となります。網膜症発症には血糖コントロール(HbA1c)、収縮期血圧、罹病期間が疾患の進行具合に有意に関連しているといわれています。

    初期には視力低下の症状が現れにくく、見えにくいことに気づく頃にはかなり進行して状態が悪くなっている場合もあり、内科や健康診断で糖尿病を指摘されたら、見え方に異常を感じていなくても、必ず眼科での定期的な眼底検査が必要です。

    糖尿病網膜症は、持続する高血糖により網膜内の血管に小さな瘤ができたり、血管壁が拡張して薄くなったり、内腔が閉塞して網膜毛細血管障害がおこることで発症します。進行の度合いによって、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の三段階の分類があります。また、眼の中心にむくみが生じる糖尿病黄斑症が生じると、急に視力が低下したり、ものが歪んで見えることがあります。

    病期を判定するには、フルオレセインによる蛍光眼底造影撮影が必要です。蛍光色素であるフルオレセイン(FA)を腕静脈内から注入し、網膜血管からの漏出、網膜無血管領域を撮影して診断します。診断がついたら、病状に応じて網膜にレーザーを照射する治療(網膜光凝固)や眼に注射をする治療を行い、場合によっては手術なども行います。

    黄斑上膜、黄斑円孔

    黄斑上膜は、黄斑前膜、セロファン黄斑症、黄斑パッカーとも呼ばれ、網膜の中心の直径1.5mm~2mm程度の小さな部分である黄斑の前に線維状の膜が張る病気です。黄斑上膜は網膜疾患の中では最も多い病気のひとつで、中でも中高年に多い傾向があります。特発性と続発性があり、特発性は加齢により自然に発生します。続発性は炎症や手術の後に発生するものです。膜の張り方が軽度であれば無症状ですので経過をみていきますが、進行してきて網膜の牽引が強くなってくると視力が低下したり、ものが歪んで見えるようになるので、その場合は手術を行って治療します。

    黄斑上膜の類縁疾患として黄斑円孔があります。黄斑円孔は黄斑の真ん中の中心窩に穴が開いてしまう病気です。穴は直径0.5mm に満たないものですが、中心窩は最も視力に関わる部分であるため、視力低下も黄斑上膜より強く、視力は0.1 未満にまで低下することがあります。黄斑円孔では、手術を必要とするケースが大半となります。ただし若年者の黄斑円孔では自然閉鎖を期待できるので、経過観察をすることもあります。

    加齢黄斑変性

    年齢を重ねるとともに網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積してきます。それにより直接あるいは間接的に黄斑部が障害される病気が加齢黄斑変性です。

    加齢黄斑変性には大きく分けると萎縮型と滲出型の2つの種類があります。

    萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、網膜が障害され視力が徐々に低下していく病気です。萎縮型は、現在のところあまり有効な治療がみつかっていません。

    滲出型は日本人に多いタイプで、異常な血管(脈絡膜新生血管)が脈絡膜から網膜色素上皮の下あるいは網膜と網膜色素上皮の間に侵入して網膜が障害される病気です。異常な血管は正常の血管と異なり血液の成分を漏出させたり、血管が破れたりします。血液成分が漏出すると網膜が腫れたり(網膜浮腫)、網膜下に液体が溜まります(網膜下液)。そのために網膜が正しく働かなくなり視力が低下します。血管が破れると網膜下血腫、黄斑下血腫などが起こり網膜を障害します。滲出型では病状によって眼内への抗VEGF抗体の注射で治療を行います。

    当院では網膜硝子体疾患に対して入院による手術を行っています。特に緊急な治療を必要とする網膜剥離などの症例に対しては、緊急手術に対応できるように体制を整えております(強膜バックリングや症例によっては全身麻酔下での手術も可能です)。またワイドビューイングシステムと小切開硝子体手術の実施によって、より侵襲の少ない手術を常に心がけております。

    また外来診療では、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞疾患、加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管に対する網膜光凝固治療やステロイドテノン嚢下投与、抗VEGF抗体の硝子体内注射を行っております。

    治療を行っても症状が改善しない難治性の疾患もありますが、網膜の病気は治療せずに放置しておくと失明のリスクがありますので、心配な症状がある場合は、かかりつけの眼科医院からの紹介状をお持ちの上、ご予約をしてから来院していただけますようお願い申し上げます。お手数をおかけしますがご協力をよろしくお願い申し上げます。緊急の場合はまずお電話にてお問い合わせください。

  • 緑内障外来 arrow_forward_ios

  • 緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気のことです。視神経の障害は、目の硬さである眼圧が、その人の耐えられる眼圧より上昇することによって引き起こされます。
    緑内障は、我が国における失明原因の上位にのぼります。疫学調査によると、日本の40歳以上人口の約4%が緑内障を患っています。よってわが国には約300万人の緑内障患者がおり、その多くは視野障害の自覚がないため健診などで発見されることがほとんどです。*
    緑内障外来でのキーワードは「早期発見・早期治療」と「患者様の一生涯にわたる視機能保持」です。緑内障と初めて診断された患者様は、失明という不安に駆られることが多いのですが、それを取り除くよう心がけております。

    出典:* Iwase A, et al : The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study.Ophthalmology. 2004 Sep;111(9):1641-8

    緑内障の検査方法

    1. 眼底検査
    詳しく精密検査をする場合は散瞳して、視神経乳頭といわれる視神経の網膜への出口を観察します。

    2. 眼圧検査
    眼に麻酔をして器具をあてたり、空気を直接あてたりして圧力を測定します。

    3. 視野検査
    視野検査は見える範囲の検査で、緑内障による視野欠損や進行の程度を評価するのに重要な検査となります。必要に応じて2種類の視野検査を使い分けて病状の判断をしていきます。

    4. 眼底三次元画像解析検査
    視神経乳頭は円形で、ドーナツのように周辺に厚みがあり、中央はへこんでいます。光干渉断層計(OCT)は、網膜を断層、輪切りにして画像を示すことができます。網膜の神経層の厚みを測定できるため、緑内障の診断や経過観察にも有用です。

    5. 隅角検査
    目に粘性のある目薬をつけて特殊なレンズによる隅角鏡検査をおこないます。眼の中の水(房水)の排水口を直接観察します。

    緑内障の治療
    緑内障で減った視神経が戻ることはありません。視神経をそれ以上減らさないように努めることが、緑内障治療の原則となります。具体的には、眼圧を下げることにより視神経が減りにくくなる(視野が保たれやすくなる)ということがわかっていますので、各種治療により眼圧を下げるようにします。
    その際には、眼圧が正常範囲(10~20mmHg)に保たれていればよいのではなく、その人のなにも治療しない時の眼圧(ベースライン眼圧)から治療によりどの程度下げられるかが重要なポイントとなります。

    治療の方法は下記の方法があります。

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      薬物治療

    2. 緑内障の点眼薬は作用機序が異なる沢山の種類がありますが、基本的には眼球内の水(房水)を作る量を減らすか、房水の排出量を増やすかのどちらかに属します。実際の治療では、まずは一剤から開始し、眼圧の下降効果が不十分だったり、副作用の有無により、薬を変更したり作用機序の違った薬を追加します。

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      レーザー治療

    4. 基本的に手術と同じ考えなのですが、レーザー治療により水(房水)を眼球外に流れやすくすることをめざします。
      手術治療に比べ眼に対するストレスが少なく、ほとんどが外来で通院しながらできるので、患者さんにとっては非常に楽な治療法といえます。
      中にはレーザー治療によって、今まで何種類も使用していた点眼薬が不要になったという例もありますが、長期に観察すると次第に眼圧が再上昇することも少なくありません。 このため、薬物療法が無効な場合、レーザー治療を経ない場合も多く、手術治療にとってかわる万能なものではありません。
      レーザー治療がもっとも有効なのは、急性発作を起こしやすい閉塞隅角緑内障です。このタイプの緑内障は、眼球の解剖学的な構造上、虹彩自体が水の排出を障害しています。この場合は虹彩にレーザーで穴を開けることで、緑内障の急性発作を治療します。また発作を起こす可能性がある危険な目に予防的処置をすることもあります。

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      手術治療

    6. 当院では緑内障の状態により線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、チューブシャント手術などの術式を選択しています。
      また白内障手術や硝子体手術など他の手術と同時手術を行う場合もあります。
      どの術式も薬物療法やレーザー治療では下がらなかった眼圧を手術により、コントロールしようという考えです。

    線維柱帯切除術(ろ過手術)

    線維柱帯を一部分切除し、房水の排水口を別に作る手術です。 眼の中の房水を眼の外(結膜の下)に流し、水の袋(ろ過胞)を完成させて眼圧を下げます。当手術では、作った排水口がふさがらないように、術中に傷口がふさがり難くする薬を併用し、長期にわたり良好な手術成績を得ています。長所としては幅広い疾患が手術適応となりますが、術後長期の合併症としてろ過胞が細菌感染に弱いということが短所となります。

    A前房 Bろ過胞 C結膜 D外層強膜弁 F房水の流れ I虹彩
    房水はろ過胞に流れたのち、ろ過胞周囲の血管から静脈に回収されます。

    線維柱帯切開術(流出路再建術)

    シュレム管の中に糸や針金状の器具を挿入し、目詰まりしている線維柱帯を広範囲に切り開き、本来の排水口に房水を流すことで流出抵抗を減少させて眼圧を下げる手術です。 線維柱帯を切り開くと、静脈から眼の中へ血液が逆流するため、手術の後は一時的に見えにくくなります。長所としては、手術の負担も少なく術後の管理も大変ではありませんが、最終眼圧が静脈圧に依存し、眼圧下降が不十分な場合は他の緑内障手術を追加することがあることが短所となります。

    チューブシャント手術(緑内障治療用インプラント挿入術)

    眼内にチューブを挿入し、強膜に設置したプレートを通して眼球の後ろに房水を流すことで眼圧を下げます。チューブは自己強膜や保存強膜で覆います。また、チューブを挿入する場所によっては硝子体手術を併用することもあります。房水の流出路を人工的な素材であるチューブで確保するため、流出路の閉塞が起こりにくく、線維柱帯切除術が効き難い難治の緑内障に対して適応になることが最大の長所ですが、チューブやプレートの露出、角膜の裏側の細胞(角膜内皮)の障害など特有の合併症があることが短所となります。

    緑内障手術は基本的には詰まった排水口を再利用するか、新しい別の排水口を作るかのどちらかです。一般的に手術というと悪いできものをとり除き健全な状態に戻すことを想像しますが、緑内障の場合、一度悪くなった視野は残念ながら元に戻りませんので、最適なタイミングで手術治療を導入することが大切です。

    緑内障は早期発見、早期治療が重要

    緑内障は自覚症状に乏しく、一度狭くなった視野は戻りません。しかし病気の進行は大変ゆっくりで、進行を抑制する有効な治療法もあります。そのため早期発見、早期治療が大変有効な病気といえます。自覚症状がなくとも40歳を過ぎたら、年に1回は眼科検診を受けることをお勧めします。

    当院の眼科を初めて受診されます方は、おかかりつけの眼科医院からの紹介状をお持ちの上、ご予約をしてから来院していただけますようお願い申し上げます。お手数をおかけしますがご協力をよろしくお願い申し上げます。緊急の場合はまずお電話にてお問い合わせください。

  • 角膜外来 arrow_forward_ios

  • 角膜は‘くろめ’と言われる部分で、目の表面にある血管のない透明な組織です。角膜は大きなレンズの役割をしていて、外から入ってきた光を目の奥の網膜に集めてくれます。また角膜は眼球の最も外側にありバリア機能として異物や細菌、真菌などの病原体から守ってくれています。少し傷ついただけでも強い痛みを生じて目の異常事態を知らせてくれます。

    代表的な疾患
    角膜感染性疾患

    コンタクトレンズの不適切な使用や、目にゴミが入ったり目を強くこすったりすることで角膜の表面に傷ができると細菌、真菌、アカントアメーバなどのさまざまな病原体が表面の傷から侵入し感染を起こします。ヘルペスウィルスに伴う角膜炎は神経に潜むウィルスがストレスや体調不良などが引き金となって病変を形成します。いずれも早急に治療を始めないと、潰瘍が広がり重篤な視力障害を残すことがあります。当院では塗沫鏡検や培養検査を行い、適切な点眼薬や内服薬を処方し治療にあたっております。院内調剤が必要な点眼薬においても処方する体制ができております。

    水疱性角膜症

    角膜が透明でいられるのは、角膜に含まれる水分がちょうど良く維持できているからです。この水分の調節をしてくれているのが角膜の一番内側にある角膜内皮細胞のおかげです。目の炎症や手術後に角膜内皮細胞が極端に減少してしまうと、一度減ってしまった細胞は再生しないため、角膜に水が多量に入り込み、むくんで白くにごり(水疱性角膜症)視力が落ちてしまいます。治療は角膜内皮細胞移植が必要になります。むくみが長い間経過してしまった場合、全層角膜移植が選択されることがあります。

    遺伝性角膜疾患

    遺伝性に角膜ににごりがでてくる疾患を言います。ゆっくりと進行することが多いですが、にごりが強くなり視力が低下した場合は治療的表層角膜切除術(※)や角膜移植術によりにごりをとりのぞく治療を検討します。

    円錐角膜

    円錐角膜は、思春期に多い病気です。角膜の真ん中からやや下方が進行性に円錐状に突出し、視力が低下します。アトピー、喘息、目をこする癖のある方に多いです。初期には診断が見落とされることがあるので原因の分からない視力低下の場合は一度角膜の形状を見ることが大事です。軽度から中等度はハードコンタクトレンズ装用、角膜内リング、角膜クロスリンキング(※)の適応ですが、高度に突出した場合は角膜移植が適応になります。

    ドライアイ

    ドライアイは様々な要因で目の表面の涙の安定性が悪くなり、ごろごろしたり視力に影響をきたしたりします。加齢、疾患、女性などの内因によるもの、エアコンの風があたる環境や長時間のパソコンやスマートフォンの使用などの外因によるものが関係すると言われています。涙の出る量が少なく目の表面が乾いて傷んでいる方だけがドライアイと思われていましたが、涙が目の表面にのりにくく安定しない方も同等に目の不快感を感じることが分かってきており、悪化する前に治療が必要です。症状や所見に合わせて点眼や処置、外科的治療を選択します。

    角膜外傷

    目の中に酸性やアルカリ性薬剤が入ったり、鉄片などの異物が入ったりして目の表面に傷が生じることがあります。薬剤が目に入った場合はすぐに流水でしっかりと洗眼してから受診するようにしてください。角膜の表面の傷を治すために点眼や内服、点滴治療、特に外科的治療が必要になります。

    翼状片

    翼状片は角膜に結膜(しろめ)の組織が入り込んでくる疾患です。屋外スポーツで紫外線を多く浴びる環境や、花粉症などで目を頻繁にこする方に多いと言われています。翼状片が角膜に入ると乱視が強くなり、角膜の中心部に近づくほど視力も低下します。通常は角膜の中心にくるまでに翼状片を切除します。

    結膜弛緩症

    結膜弛緩症は結膜がたるんでしわができる加齢性の変化です。たるみがひどくなると涙がたまるところがしわに占拠されいつも涙がぽろぽろと外にでてしまい、ドライアイをひき起こすことがあります。たるみが強い場合、余分な結膜を切除する手術を行います。

    手術
    角膜移植

    角膜移植は、亡くなった方からご提供いただいた透明な角膜を、にごったり変形したりした角膜と交換する手術です。角膜すべての層を交換する全層角膜移植に加え、にごりや障害されている部分のみを交換するパーツ移植(角膜表層移植術、深層層状角膜移植術、角膜内皮移植術など)があります。当院では慶應義塾大学アイバンク、埼玉県アイバンクより国内ドナーを、輸入角膜の海外ドナーより斡旋を受け角膜移植を実施いたします。国内ドナーをご希望の方はアイバンクへ待機登録を行っていただき、角膜のご提供があった場合は当院よりご連絡を差し上げます。

    羊膜移植

    角膜の傷が治りにくい場合、角膜に穴があいてしまった場合、炎症を抑えたい場合に羊膜を目の表面に縫合します。羊膜バンクより羊膜の斡旋を受けて手術を行います。

    (※)治療的表層角膜切除術や、円錐角膜などの疾患に対するハードコンタクトレンズ装用、角膜内リング、角膜クロスリンキングの治療については、提携しているクリニックで手術を実施しております。

  • 診察の予約・変更

    1. 初診   8:30〜12:30
      再診 13:30〜16:30
    2. 電話で初診予約・予約変更ができます。

      048-462-1201

    1. 外来受付 月曜日~金曜日
    2. 休診日 土曜・日曜・祝日・年末年始
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