診療科・部門紹介
緩和ケア内科
概要
はじめに
重い病いを抱える患者さんやその家族の痛み、苦しさなど、様々なからだの不調だけでなく、不安や、気力の低下、不眠など精神的なつらさのケアもおこなうのが“緩和ケア”です。
最近では、がんに限らず緩和ケアは提供されるようになっており、当院でも行っています。
患者さんの生命、生活の質を大切にして、少しでもご自分らしい日々を送ることができるように、患者さんとご家族を支援します。
特色
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1
当院では、患者さんがご自宅、一般病棟、緩和ケア病棟などどこで過ごされていても、
いつでも適切な緩和ケアを受けていただけるように体制を整えています。外来で主治医や地域の医療機関と連携して支援します。
一般病棟で主治医や病棟スタッフと連携して支援します。
緩和ケア内科医師が主治医となり入院治療・ケアを行います。
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2
平成31年4月より緩和ケア病棟を開棟いたしました。
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3
平成28年度より当院は日本緩和医療学会認定研修施設となりました。
主に患者さん・ご家族の以下のような相談に対応しています。
・痛みがつらい
・夜眠れない
・息苦しさがある
・吐き気がつらい
・不安が大きい
・気分が落ち込んでいる
・気持ちを聞いてほしい
・退院後の生活について心配
・だるい
緩和ケアチーム
当院では「緩和ケアチーム」が主治医や病棟のスタッフと連携して、患者さんとご家族が自分らしく生活していく手助けをするための活動を行っています。
緩和ケアチームでは、専門の医師や看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、臨床心理士がチームとなって、痛みの専門的な対処や、気持ちのつらさを和らげる治療やケアを行っています。
入院中はチームスタッフが定期的に病室へ訪問します。病棟が移ったり、これまでの主治医やスタッフとの関係が変わることはありません。現在の治療や生活がうまくいくようにお手伝いしていく医療チームです。
病気が分かったときから、いつでも受けることができます。 はじめは主治医の先生から依頼が必要となります。がんに関するつらさのある方、話を聞いてみたい方は、主治医もしくは担当の看護師、がん相談支援センターにご相談ください。
緩和ケア外来
外来で患者さんとご家族のさまざまなつらさを緩和します。
がんの治療と並行して、苦痛を和らげるお手伝いもいたします。
診療時間は外来担当医表をご覧ください。
当院通院中の方で、受診をご希望される場合は、担当医師、または看護師にご相談ください。
緩和ケア病棟
入院される方が大切な時間をご家族とともに快適に過ごし、自分らしく生活して頂くための病棟です。
そのために皆様の抱えている身体や心のつらさを和らげることができるよう、また希望に沿えるよう、話し合いを持ちながら努めていきます。
症状緩和を行って、安心して在宅療養へ移れるようになることを推進しております。
スタッフ紹介
職名 | 氏名 | 学位 | 専門医・認定医等 | 専門分野 |
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部長 | 春日 真由美 |
日本緩和医療学会専門医・指導医 日本内科学会認定医 日本プライマリ・ケア学会認定医・指導医 日本麻酔科学会認定医 緩和ケア指導者研修修了 |
緩和医療 内科一般 |
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医師 | 萩原 彰人 |
日本内科学会認定総合内科専門医・指導医 日本緩和医療学会認定医 日本プライマリ・ケア学会認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 米国内科学会 正会員 |
緩和医療 内科一般 |
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医師 (非常勤) |
儀賀 理暁 |
日本外科学会指導医 日本呼吸器外科専門医 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡指導医 がん治療認定機構認定医 日本緩和医療学会暫定 |
緩和医療 |
外来初診担当医表
完全予約制 ・・・
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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春日 | ― | 萩原(彰) | 春日 | 儀賀(午後) |
※ 当院はすべての診療科が予約制の診療となっております。(初診紹介予約制)
※ 当院での診察順は予約の患者さんが優先となっております。予約をしていない場合は、待ち時間でご迷惑をお掛けしますがご了承ください。
※ 来院をされた日に予約をしていない場合は、受診できない場合があります。
また、受診できる場合でもお待ち願う時間が長くなることが予想されますので、あらかじめご了承ください。
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緩和ケアチームのご紹介 arrow_forward_ios
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1:受診の流れ
2:実績
緩和ケアチーム介入件数の推移
※西暦は年度です
3:がん/非がんの割合
2023年度 がん/非がん 割合
※各年度は4/1~3/31までの埼玉病院の実績を集計しました。
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緩和ケア外来のご紹介 arrow_forward_ios
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1:受診の流れ
(当院に通院中の患者さん)
2:実績
緩和ケア外来延べ患者数の推移
※西暦は年度です
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緩和ケア病棟のご紹介 arrow_forward_ios
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2019年4月に開棟しました。
病棟理念
私たちは、患者さんとご家族が、住み慣れた地域で自分らしく過ごせるように支援します。
基本方針
・患者さんのかかえる身体のつらさや心のつらさなどの苦痛をできる限り和らげることを目指します。
・自分らしく過ごせるように、患者さん・ご家族の想いを聴くことを大切にします。
ご利用できる患者さん
悪性腫瘍と診断され、積極的治療が困難と判断された患者さん、または希望しない患者さんを対象としています。(痛みやその他の苦痛な症状の治療やケアを最優先とします。)
緩和ケア病棟でよりよく過ごしていただくためには、病名・病状をご存じであること、またつらい時間を延ばすだけの延命治療を行わないことをご理解いただいていることが望ましいと考えています。
入院後、症状緩和を行い安定している場合は、在宅療養等を検討させていただくことがあります。緩和ケア病棟の特色
・20室全室個室になっております。
食堂に簡単な調理ができるキッチンがあります。
ご家族のための和・洋室の家族控え室があり、いつでも利用することができます。・緩和ケア病棟では医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカー、臨床心理士、リハビリスタッフなどがチームを組んで患者さんを支援します。
・ご相談いただければ24時間ご面会が可能です。
(※状況により面会時間は変更になる場合があります。)・ペットの面会もご相談できます。
・入院中に外出や外泊をしたり、退院をして外来通院をすることも可能です。
安心して在宅療養へ移れるよう、在宅療養の支援もおこないます。病棟施設のご案内
【病室(有料個室8床)】
シャワー付きのお部屋もご用意できます。【病室(無料個室12床)】
【食堂・談話室】
調理ができるキッチンも用意しております。【ラウンジからの景観】
天気の良い日は富士山が一望できます。【屋上庭園】
【家族控え室(和室)】
ご家族が休憩できるトイレ・シャワー付きの
控え室をご用意しております。【家族控え室(洋室)】
【一般浴室】
【機械浴室】
介助が必要な方も入浴が可能です。【小談話室】
趣味やご家族とのひとときなど、
ご自由にご利用ください。【季節のイベント】
七夕【絵画】
病室のご紹介
料金 無料 9,900円
(税込)9,900円
(税込)9,900円
(税込)室数 12室 5室 2室 1室 標準設備 洗面台、トイレ、電動ベッド、オーバーテーブル、Wifi 標準設備 収納付き床頭台
(冷蔵庫・鍵付き引き出し)床頭台
(冷蔵庫・鍵付き引き出し)
クローゼットテレビ
冷蔵庫専用テレビ
カード使用テレビ(無料)
冷蔵庫(無料)シャワー ― ― ユニットシャワー 独立シャワー その他 ― ソファベッド
駐車場1日1台無料券(1日1枚のみ)入院費用
一般病棟と同様に健康保険が適用されます。
食事代のほか、有料個室の場合は別途料金がかかります。実績
項目 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 緩和ケア
病棟
(20床)入院患者数 218名 226名 252名 234名 242名 平均在院日数 23日 27日 24日 27日 30日 自宅退院患者
割合18% 21% 20% 13% 13% 院内他科からの
転入106名 105名 122名 133名 158名 病床利用率 ― ― 84.3% 85.4% 93.4% 緩和ケア病棟入院までの流れ
・緩和ケア病棟にご入院を希望される場合は、まずかかりつけの主治医にご相談ください。主治医に診療情報提供書、検査データ、画像データ(CD)を作成して頂き、当院の予約専用電話に連絡して緩和ケア外来の診療予約をお取りください。
・外来受診時に患者さん、ご家族のご意思を確認し、当院の緩和ケア病棟における治療・ケアに関するご説明をさせていただきます。 受診に患者さんが来院できない場合、ご家族などの代理の方による受診も可能です。その場合は自費診療扱いとなり、相談料として5500円(税込)がかかります。
・受診後、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどで入院受け入れの可否を検討する判定会議を行います。この結果は緩和ケア病棟の看護師長より、電話でお伝えいたします。
・入院適応と判断されましたら、入院待機リストへ登録されます。待機リストに登録された方の中から緩和ケア病棟のベッドが空き次第、優先度に応じて入院のご案内をします。
すぐの入院希望でない場合は、入院必要となった時に改めてご連絡いただき、その時点で入院待機リストに登録されます。状況により、再度面談に来ていただく場合もありますのでご了承ください。よくある質問
Q緩和ケア病棟にはどのような人が入院できますか?
A悪性腫瘍と診断され、痛みなどの身体的なつらさや、こころのつらさがあって、患者さんとご家族が入院を希望されており、積極的治療(抗がん剤治療、手術、ホルモン療法など)が困難であると判断された患者さん、またはそれを希望しない患者さんを対象としています。
入院を希望される患者さん、ご家族は主治医または看護師にご相談ください。Q緩和ケア病棟では、どのような治療やケアを受けられるのですか?
A痛み、息苦しさ、吐き気、眠れない、だるい、不安、気分の落ち込みなどを和らげるための治療やケアを行っていきます。その他に、食事、入浴、排せつ、清潔ケアなど日常の生活が心地よいものとなるようお手伝いいたします。 可能な限り自分らしく過ごしていただけるように努めます。
Q検査や点滴はおこなわないのでしょうか?
A緩和ケア病棟では、抗がん剤治療などがんそのものに対する治療はおこないませんが、通常の診療は患者さんやご家族の希望に応じて、今までと同様に継続して行います。つらさを把握するために必要な血液検査やレントゲン検査、つらさをやわらげるために必要な点滴や処置もご希望を伺いながらおこなう場合もあります。
Q短期入院も可能ですか?
Aご家族の看病の負担を和らげるための短期入院もおこないます。
Q外泊や退院はできますか?
A症状が落ち着いていれば、外泊や退院は可能です。
在宅療養の体制を整え、在宅支援していきます。
退院後に、再入院が必要な状況となった場合、緊急入院も含めて入院は可能です。Q本人(患者さん)に病名や病状を知らせていないのですが入院できますか?
A緩和ケア病棟でよりよく過ごしていただくためには、ご自分の病気について知っていることが望ましいと考えております。
がんであることをご存じで、がんを治す治療ができない事を理解していることが望ましいですが、詳細な生命予後の期間についてまで、無理にお話しする必要はないと考えています。
患者さんがご自分のお体のことを十分に理解されていない状況で、患者さんから病状について尋ねられた場合、うそのない真実のコミュニケーションのため、必要に応じて真実をお伝えすることもあります。Q緩和ケア病棟への入院を待っている間に具合が悪くなったらどうしたら良いですか?
A基本的には登録された方の中から緩和ケア病棟のベッドが空き次第、入院のご案内をさせて頂く形となりますので、入院をお待ち頂いている間の薬の処方や緊急時の対応については、現在の主治医の先生にご相談ください。ただし、緩和ケア病棟の病床が空いている場合には、即日入院となる場合もあります。入院の順番は、申込みの順番だけでなく、体調の悪化などで順番が入れ替わる場合もありますのでご承知おきください。
Q費用はどのくらいかかりますか?
A緩和ケア病棟入院費は、一般病棟と同様に各種健康保険、高額療養費制度が適用されます。
食事代のほか、有料個室の場合は別途料金がかかります。Q補助代替療法・民間療法はできますか?
A当病棟ではこれらの療法を提供いたしませんが、治療・ケアに支障がなく、副作用のないものに関しては、ご本人とご家族の責任において行っていただくことも可能ですので、ご相談ください。定期的な血液検査などを必要とするものや、他の患者さんへのご迷惑となるようなもの、火を使うものは行うことはできません。
Q長期の入院はできますか?
A限られた部屋数の中、緩和ケア病棟への入院を希望される多くの患者さんが待っておられるため、申し訳ありませんが、原則的に長期の療養入院は困難です。症状の落ち着いた患者さんは自宅療養に向けての準備をお手伝い致します。病状が悪化した場合は再入院することも可能です。
また目的に応じた転院先のご紹介もさせて頂きます。Q家族がずっと付き添わないといけませんか?
Aいつでも家族の付き添い(宿泊)は可能ですが、必ず付き添わないといけないという決まりはありません。しかし、患者さん本人の希望や症状の経過に伴う心理状態の変化など必要に応じて、付き添いをお願いする場合もあります。
Q入院についての決まりはありますか?
A特に決まりはありません。面会時間の制限もありません。
食事も、自宅などから食べ物をお持ちいただくことも可能です。病棟のキッチンで調理することも可能です。(※状況により面会時間は変更になる場合があります。)
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後期研修のご案内 arrow_forward_ios
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- 定員
- 若干名
- 状況
- 見学受付中
- 採用試験日
- 個別に日程調整します
- 指導医・専門医
- 春日真由美
- 専門研修の特徴
- 当院では緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、在宅緩和ケア、緩和ケア外来と様々な場面において、多様なニーズに応えることができる緩和ケア専門医の育成を目指しています。緩和医療専門医を目指した研修が可能で、研修スケジュールは個々人に合わせて決定します。
- 研修期間
- 1~5年間
- 取得可能な専門医資格
- 日本緩和医療学会認定医、日本緩和医療学会専門医
- 専門研修目標
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Ⅰ 一般目標
緩和医療に関する知識と技術を習得し、さまざまな患者の苦痛に対応できる医師を目指す。1) 緩和ケアの理念を理解する。
2) 痛みや苦痛を全人的苦痛として理解し、身体的だけでなく、心理的、社会的、
霊的 ( スピリチュアル )に把握することができる。3) 緩和ケアチームおよび一般病棟において、チーム医療の一員としての立場を理解し、行動する。
Ⅱ 行動目標1) 技術面
① 病歴聴取(発症時期・様式、痛みの部位・性状・程度・持続期間・推移・増悪軽快 因子)
② 身体所見を適切にとる。
③ 患者・家族への病状説明、インフォームド・コンセントの実践
④ 痛みを適切に評価する。
⑤ 鎮痛薬、鎮痛補助薬を正しく理解し、処方する。
⑥ 薬物の経口投与や非経口投与(持続皮下注、持続静注、口腔粘膜投与)を正しく行う。
⑦ 療養の場の調整(在宅医療機関等との連携) を計画する。
2) 知識面
① 痛みの定義について述べることができる。
② 痛みのアセスメントについて具体的に説明することができる。
③ WHO方式がん疼痛治療法について具体的に説明できる。
④ 神経障害性疼痛について、その原因と痛みの性状、治療法を述べることができる。
⑤ 痛みの非薬物療法について述べることができる。
(緩和的放射線治療など)⑥ 痛み以外のがん末期の諸症状を理解し、適切な薬物投与や全人的ケアを行う。
・ 悪液質(食欲不振、倦怠感、るいそう、体力低下)
・ 消化器症状(腸閉塞、悪心嘔吐、腹水、腹部膨満感、吐下血)
・ 呼吸器症状(呼吸困難、咳、喘鳴、胸水)
・ 精神症状(不眠、傾眠、混乱、不穏、高カルシウム血症、肝性脳症)
⑦ がん患者の心理社会的側面を理解する。
⑧ スピリチュアルペインとは何かを理解する。
⑨ 鎮静、輸液について正しく理解し、実践する。
Ⅲ 研修方法
実際患者を担当して、苦痛緩和方法を学んでいく。また、看護師やコメディカルなど多職種参加のカンファレンスを行う。
- プログラム概要
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1: 緩和ケア病棟での症状コントロール、病状説明、チームケア
2: 緩和ケアチームとしてコンサルテーション(月~金)
3: 緩和ケア外来診療(定期、臨時)
4: 在宅緩和ケア(週1日)
1~4を通して
・ 緩和ケア診療の専門的知識、治療を学ぶ
・ 入院、外来、在宅など様々な場での緩和ケアを学ぶ
・ 患者やご家族の想いを傾聴し、心に寄り添うケアを学ぶ
興味がある方はお気軽にご連絡ください。
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お知らせ arrow_forward_ios
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医療従事者の方へ
当院では、私たちと一緒に緩和医療に取り組んでいただける医師の方を募集しております。
平成28年度より当院は日本緩和医療学会認定研修施設に認定され、今後専門医取得を目指すことも可能となります。今まで緩和ケアに携わってきた方も、これから緩和ケアを学びたい方も、お気軽にご連絡ください。
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診察の予約・変更
- 初診 8:30〜12:30
再診 13:30〜16:30 -
電話で初診予約・予約変更ができます。
- 外来受付 月曜日~金曜日
- 休診日 土曜・日曜・祝日・年末年始
- 初診 8:30〜12:30
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