診療科・部門紹介
外科(消化器外科)
概要
対象疾患
地域癌診療拠点病院として、消化器の悪性腫瘍に対する専門的な診断、治療を主とした診療を行っておりますが、胆石等の良性消化器疾患、鼠径ヘルニア、痔核や裂肛等の肛門疾患、急性虫垂炎や腹膜炎などの腹部救急疾患まで幅広い診療を行っております。
診療方針
我々は、常に最新、最善の治療方針を患者さんにお示しすることができるよう、新しい知識や技術を身につけるべく日々研鑽しております。その上で、基本的に各種ガイドラインで推奨されているような科学的根拠のある治療法を標準治療として推奨しています。しかし、治療方針の決定には、病状や治療について患者さんご本人、ご家族に詳しくご説明し、ご理解を得られた上でご希望に添った治療法を選択していくことを最も大切に考えています。特に、まだ標準治療が定まっていなかったり、標準とされる治療が患者さんの病状にそぐわないと考えられたりする場合には、我々が最も適切と考える治療法をそのメリット、デメリットを含めてご提示し、一緒に最善と思える道を進んでいける体制を作ることを目指しています。
診療上の特色
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1
多角的な診療
外科的な手術治療がメインとなりますが、消化器内視鏡の診断、治療、化学療法や放射線治療、緩和ケア等、様々な病態に対応して、定期的なカンファレンスやキャンサーボードにて他部門と情報を共有、連携をとりながら幅広い分野の診療を担当します。
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2
腹腔鏡下手術
近年では、傷が小さく、身体の負担が少ないとされる腹腔鏡手術が急速に普及しています。当院でも様々な手術で積極的に取り入れております。一般的に広く行われている胆のう結石や胃粘膜下腫瘍はもちろん、早期胃癌や大腸癌のほとんどに腹腔鏡を用いた手術を行っております。肝臓や膵臓に対する手術でも、当院では安全性を確保しながら早くから腹腔鏡手術の導入を進めており、これまで大きな合併症を起こすことなく徐々に適応を広げてきています。肝臓に関しても半数近くの症例は腹腔鏡で行うようになってきています。
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3
高難易度手術
肝門部領域胆管癌に対する血行再建を伴う肝膵同時切除や食道癌に対する胸腔鏡下の食道切除等、一般の市中病院ではなかなか手術が難しいこともある症例に関しても、可能な限り当院で治療が完遂できることを目指しています。そのために、大学病院と緊密な連携のもと治療方針を共有し、エキスパートを招聘して当院で手術を行うことや、大学での手術の後また当院で術後管理をさせていただくといった方法をとり、専門性と地域に根ざした利便性を両立すべく努力して参ります。
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4
化学療法
化学療法に関しては、最新の科学的根拠に基づいた治療法を中心に行っています。外来で施行可能な治療法はできるだけ外来で行うこととし、入院による様々な負担を回避しています。また、食道癌、胃癌、直腸癌、膵臓癌等では、症例に応じて手術の前に腫瘍の縮小や病勢のコントロールを目的とした術前化学療法や術前化学放射線療法を積極的に取り入れ、切除率や術後再発率の改善に取り組んでいます。
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5
救急医療
365日24時間、緊急手術に対応できる体制を敷き、あらゆる腹部救急疾患に対応しています。
スタッフ紹介
職名 | 氏名 | 学位 | 専門医・認定医等 | 専門分野 |
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副院長 外科部長 患者支援センター長 TQMセンター部長 |
早津 成夫 |
日本外科学会外科専門医・指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医・ 消化器がん外科治療認定医 日本肝胆膵外科学会評議員 日本肝胆膵外科学会肝胆膵外科高度技能指導医 日本胆道学会認定指導医 日本膵臓学会認定指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本ペイシェントエクスペリエンス研究会PXE認定 慶應大学医学部外科客員准教授 |
消化器外科全般 肝胆膵疾患 |
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外科部長 | 津和野 伸一 |
日本外科学会外科専門医・認定医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・ 消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本内視鏡外科学会技術認定医(食道) 日本食道学会食道科認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 検診マンモグラフィ読影認定医 |
消化器外科全般 上部消化管疾患 |
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外科医長 | 雨宮 隆介 | 医学 博士 |
日本外科学会外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・ 消化器がん外科治療認定医 日本肝胆膵外科学会評議員 日本内視鏡外科学会技術認定医(胃) |
消化器外科全般 肝胆膵疾患 |
医師 | 江頭 有美 |
日本外科学会外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・ 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医(胃) 日本食道学会食道科認定医 Certificate of hinotori™ Surgical Robot System Training As a Cockpit Surgeon |
消化器外科全般 上部消化管疾患 |
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医師 | 池端 昭慶 |
医学 博士 |
日本外科学会外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・ 消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸) 日本消化器内視鏡学会専門医 Certificate of hinotori™ Surgical Robot System Training As a Cockpit Surgeon 身体障害者福祉指定医 (小腸機能障害・膀胱直腸障害) |
消化器外科全般 下部消化管疾患 |
医師 | 小桐 雅世 | 医学 博士 |
日本外科学会外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科専門医・ 消化器がん外科治療認定医 |
消化器外科全般 下部消化管疾患 |
医師 | 松本 幹大 | 外科専攻医 | ||
医師 | 亀苔 昌平 | 外科専攻医 |
外来初診担当医表
完全予約制 ・・・
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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池端 | 早津 | 早津 | 津和野 | 津和野 |
小桐 | 雨宮(隆) |
原(彰) (第2・4) |
雨宮(隆) | 江頭 |
※ 当院はすべての診療科が予約制の診療となっております。(初診紹介予約制)
※ 当院での診察順は予約の患者さんが優先となっております。予約をしていない場合は、待ち時間でご迷惑をお掛けしますがご了承ください。
※ 来院をされた日に予約をしていない場合は、受診できない場合があります。
また、受診できる場合でもお待ち願う時間が長くなることが予想されますので、あらかじめご了承ください。
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上部消化管疾患 arrow_forward_ios
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対象疾患
食道癌、胃癌、粘膜下腫瘍などの悪性疾患や食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎などの良性疾患を診療しています。
迅速な検査と治療
治療方針決定のために必要な検査を迅速に(食事をしていない方に関しては初診日にCT検査や内視鏡検査を行うなど)行います。多発病変や病変の範囲について拡大内視鏡や特殊光等を用いて詳細に観察、正確に診断できるようチームで評価し、そのまま円滑に治療に移行しています。
個別化治療
ガイドラインに沿った診療を基本としながらも、疾患の進行度、全身状態、生活環境、ご希望等を踏まえて治療方針を個別に提案しています。
各科と連携をとってリスク評価や手術以外の治療も検討した上で、内視鏡的粘膜下層剥離切開術等の、より低侵襲な治療や、QOLに配慮した胃局所切除、幽門保存胃切除等の機能温存・縮小手術を選択する一方で、抗がん剤や放射線も組み合わせた集学的治療や、徹底したリンパ節郭清や合併切除を伴う拡大手術も積極的に行っています。胸腔鏡・腹腔鏡手術
手術の苦痛や負担を軽減するため、食道癌、胃癌に対しては胸腔鏡、腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
食道癌に対する胸腔鏡手術は従来の大きな開胸を行わないため、術後の疼痛や呼吸機能への影響が非常に軽減されるだけでなく、内視鏡手術の特性を生かし、より精密な手術を行えることが特徴です。
胃癌に対しては完全腹腔鏡下手術(吻合のための小開腹を行わず、腹腔鏡下に再建)を行っており、安全性、整容性ともに優れた成績です。
早期胃癌や胃粘膜下腫瘍に対しては、腹腔鏡と内視鏡を併用するなどして、根治性を担保しつつ切除範囲を最小限にして、術後障害を軽減できるよう努めています。
集学的治療を行う際に、正確な病期診断、適切な治療時期を見極めるために審査腹腔鏡を行うこともあります。
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下部消化管疾患 arrow_forward_ios
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下部消化管外科の専門治療と最先端技術
当院の下部消化管外科チームでは、大腸癌治療における最先端技術を用い、常に患者さんにとって最適な医療を提供しています。私たちは、低侵襲手術に重点を置き、患者さんの体への負担を最小限に抑え、術後の早期回復を目指しています。
1. 腹腔鏡手術による大腸癌治療
当院では、腹腔鏡手術を大腸癌の治療に積極的に導入しています。腹腔鏡手術は、複数の小さな傷からカメラや手術器具を挿入し、高精度のモニターを使用して行う手術法です。これにより、従来の開腹手術に比べて体への負担が軽減され、患者さんの回復が早いという大きな利点があります。当院では、約8割以上の大腸癌患者さんがこの方法で手術を受け、早期退院と早期社会復帰を実現しています。
2. hinotori™を用いたロボット支援下手術
さらに、当院では、国産初の手術支援ロボット「hinotori™」を導入し、大腸癌手術に積極的に使用しています。ロボット支援下手術は、外科医が操作するロボットアームにより、精度の高い手術が行えるのが特徴です。特に直腸癌などの狭い骨盤内の手術では、細かな神経や血管を避けながら、より安全で効果的な手術が可能です。当院は、県内で2番目にhinotori™によるロボット支援下直腸癌手術を施行し、患者さんの早期回復と術後の快適な生活をサポートしています。
3. 直腸癌に対する集学的治療
直腸癌は、結腸癌とくらべて予後が不良ながんです。特に局所進行癌では、治療が難しいことが多いため、当院では集学的治療を提供しています。これは、放射線治療・化学療法・手術を組み合わせた総合的な治療法で、局所進行直腸癌においても良好な治療成績を得ることができると考えています。術前に放射線治療と化学療法を行い、その後に手術を実施することで、肛門温存率の向上や切除不能例の改善など、患者さんに大きな利点をもたらす可能性があります。
(自験例)
(自験例)
4. 安全かつ効果的な医療の提供
私たちの目標は、常に患者さんの安全を最優先に考え、最新の技術を駆使したオーダーメイド治療を提供することです。患者さん一人ひとりの状況に合わせた最適な治療を行い、より良い治療結果を目指しています。地域の皆様に寄り添い、安心して治療を受けていただける環境を整え、全力でサポートいたします。
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肝胆膵疾患 arrow_forward_ios
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肝胆膵領域の疾患にたいし、良性の胆嚢結石や胆管結石から肝臓癌、胆道癌、膵臓癌等の悪性疾患まで幅広く診療を行っております。 この領域は解剖が複雑で、手術の難易度が高く、より専門性の高さが必要とされています。当院は学会認定の肝胆膵高度技能指導医が在籍し、高度技能が要求される高難易度手術が数多く行われており、かつ、手術成績が良好な施設だけが認定される高度技能専門医修練施設の認定も受けており、大学病院や癌専門病院のような、より高レベルの診療が行えるよう、日々努力しております。
肝疾患
原発性、転移性の肝腫瘍や胆管、胆嚢から発生した悪性腫瘍に対し肝切除を行います。年間の肝切除件数は25例前後です。病変の状態、肝臓の機能、全身状態、患者さんやご家族のご意向などを十分に検討し治療方針を決定します。
検査の画像から肝臓や周囲血管の詳細な3D画像を作成し、綿密なシミュレーションを行います。これを元に、より安全で侵襲が少なく、確実に病変をすべて取り除ける手術をプランニングします。
術式は部分切除から血管合併切除を伴う拡大肝切除まで様々ですが、近年では技術も向上し、安全性を担保した上で腹腔鏡手術に積極的に取り組んでいます。現在では区域切除や葉切除等の大きな手術も保険適応となり、当院では保険適応のある肝切除術の約半数が腹腔鏡で行われています。
血管合併切除を伴う肝門部領域胆管癌等の高難易度手術では、大学病院と方針を共有し、当院での手術に大学のエキスパートを招聘したり、手術自体は大学病院をご紹介させていただいた上で、大学で当院スタッフが参加して行い、術後状態が安定したらまた当院で術後管理をさせていただいたり、といった連携をとって、地域の皆様のニーズに応えられるよう配慮しております。
手術以外の治療としては、ラジオ波焼灼療法(RFA)などの局所療法や経動脈的腫瘍化学塞栓療法(TACE)などを消化器内科や放射線科と共同で行っています。膵領域腫瘍
膵臓領域の悪性疾患に対する手術は例年20~25例程度を行っています。病変を完全に取りきることができる(根治性が得られる)と判断した場合には、積極的に近傍の主要血管である門脈や腹腔動脈の合併切除も行っています。周囲への浸潤が強く、切除が困難と考えられる症例には、まず、抗がん剤による全身化学療法やそれに放射線を併用した化学放射線療法を行い、病変の縮小や遠隔転移が出現しないことを確認した後に根治手術を行う治療を取り入れ、切除率や予後の改善を図るとともに、患者さんに不要な手術侵襲を加えることを避けるように心がけています。
胆管の閉塞により黄疸を来している症例では、必要に応じて術前に内視鏡的(ENBD,ERBD)、あるいは経皮的(PTBD)に胆管のドレナージを行い、残念ながら、手術適応とならない症例では、胆管の狭窄部にステントを挿入して胆汁の流れ道を確保し、QOLの改善に努めています。
膵体尾部の嚢胞性腫瘍や内分泌腫瘍などの低悪性度腫瘍に対しては、積極的に腹腔鏡下手術を導入し、低侵襲治療を目指しています。胆石
胆嚢結石や総胆管結石に対する手術は、年間約100例を行っています。胆嚢結石に対しては、急性胆嚢炎の緊急手術も含め、全例腹腔鏡下手術の適応としています。腹腔鏡下の観察で、胆嚢周囲の炎症の影響が強度で手技的に困難と判断された場合には、安全な手術を行うため開腹手術に移行する場合もありますが、開腹手術に移行する割合は年間で5%前後です。
総胆管結石に対する治療は、消化器内科と共同で、ERCPによる内視鏡的治療を第一選択としています。結石の大きさ、数、十二指腸乳頭部の解剖学的要因等により、内視鏡的治療が困難な場合には、総胆管を切開して結石を除去する手術を行いますが、近年では、これも腹腔鏡下での処置を第一選択とし、より負担の少ない手術を行うことを目標としています。
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手術件数 arrow_forward_ios
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外科手術症例数
2018 2019 2020 2021 2022 全身麻酔症例 490 548 452 496 513 脊髄麻酔・局所麻酔症例 122 125 125 148 135 計 612 673 577 644 648 上部消化管疾患
がん症例数 2018 2019 2020 2021 2022 食道がん 6 9 8 9 9 胃がん 57 51 38 43 36 術式別 2018 2019 2020 2021 2022 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 胃局所切除術 5 (3) 3 (2) 2 (2) 4 (4) 4 (4) 幽門側胃切除術 31 (20) 34 (23) 27 (17) 27 (19) 22 (19) 胃全摘術
(噴門側胃切除術を含む)13 (5) 14 (7) 9 (3) 12 (7) 4 (3) 下部消化管疾患
がん症例数 2018 2019 2020 2021 2022 結腸がん 51 42 54 74 65 直腸がん 30 28 25 33 30 術式別 2018 2019 2020 2021 2022 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 回盲部切除術 8 (7) 15 (11) 16 (15) 17 (15) 18 (14) 結腸部分切除術・
S状結腸切除術39 (33) 44 (29) 36 (26) 29 (17) 40 (30) 結腸右半切除 10 (9) 12 (9) 14 (9) 16 (14) 10 (8) 高位前方切除術 12 (12) 11 (11) 12 (11) 15 (13) 14 (13) 直腸切断術 3 (2) 2 (2) 1 (1) 3 (3) 1 (1) 低位前方切除術 10 (10) 10 (9) 11 (9) 12 (12) 10 (10) 虫垂切除術 56 (44) 84 (66) 56 (51) 58 (53) 45 (42) 痔核根治術 10 2 3 4 4 肝胆膵疾患
がん症例数 2018 2019 2020 2021 2022 肝がん 21 21 14 15 25 胆道がん 7 9 10 13 10 膵がん(IPMN含む) 16 17 15 18 20 肝胆膵高度技能手術 34 40 29 40 38 術式別 2018 2019 2020 2021 2022 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 肝切除 21 (13) 28 (11) 20 (12) 20 (12) 36 (21) 系統的肝切除 14 (9) 18 (8) 8 (6) 15 (12) 17 (9) 膵切除 18 (3) 22 (3) 19 (2) 26 (1) 25 (2) 膵頭十二指腸切除 10 13 13 22 18 胆嚢摘出術 71 (69) 91 (88) 97 (95) 86 (85) 99 (95) 総胆管結石 2 (2) 2 (2) 1 (1) 1 (1) 0 (0) ヘルニア
術式別 2018 2019 2020 2021 2022 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 例(鏡視下) 鼠径ヘルニア手術 106 (36) 121 (36) 112 (35) 123 (39) 145 (47) 腹壁ヘルニア手術 18 (10) 6 (1) 14 (3) 7 (1) 11 (1)
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