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呼吸器外科(呼吸器外科診療Q&A(肺がん検査と診断篇))

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呼吸器外科

呼吸器外科診療Q&A~肺がん検査と診断篇

ここでは肺がんの検査と診断に関して、よく尋ねられる質問とその回答を記述しておきました。

肺がんの手術全般に関することはこちらを、内視鏡手術(胸腔鏡手術)についてはこちらのページ
ご覧ください。

Q)担当医が、がんかどうかハッキリ言わず、信用できないのですが?

A)がんを疑っていても、がん細胞が顕微鏡検査で確認できないうちは、『がん』という診断は下せないため、はっきり断言できないためです。

医学の世界では「がん」と診断するためには、がん細胞をからだの外に取りだしてがんであることを証明(普通顕微鏡での検査になりますので病理組織検査あるいは細胞診検査と言う検査でがん細胞の存在を証明します)しなければならない、という不文律があります。万が一、がん以外の病気にガンの治療が行われないようにということが念頭にあります。レントゲンやCTなどの体の外から調べる検査(画像診断と言います)でいくら「肺がん」を疑っても、あくまで「肺がんの疑い」であって「肺がん」と診断することはできないのです。

画像診断技術は近年飛躍的に発展進歩しましたが、病巣の細胞を体の外に取りだす技術については、今日でも困難なことが多く、画像で病巣が見つかっていても「がん」と証明できないケースが増えてきました。このような場合、患者さんとの会話では「がんですか?」→「ガンの可能性がある、おそらくガンでしょう」、「ガンではないのですね?」→「そうかもしれない」などと受け取りようによっては大変わかりづらいやり取りが行われることがあるようです。むしろ真面目に医学的に正確さを保とうと発言しようすると、このような誤解を生む会話になりがちです。

医師は誤診を最も恐れています。その中で「がんの可能性がある」と発言するときは、プロとしてそれなりの考え・気持ちがある時です。結果としてがんでない場合もありますが、気持ちを感じていただくと有難いです。

Q)細胞を取る検査で、がん細胞は出なかったと言われました。これで安心でしょうか?

A)ガンでないとは言い切れず、まだ安心できません。

がん細胞が出ない可能性としては(1)病巣にがん細胞が存在しない(2)がん細胞は存在するが、がん細胞を採取できなかった、の2つの可能性があり、後者の可能性を考えると安心とは言い切れないのです。直接病巣を見ることができない肺の病気では、検査で必ずしも病巣から細胞を取れていないことが多く、後者の可能性を捨てきれないのです。がん細胞が出てない代わりに、がん以外の特定の病気(例えば結核菌のような)が確実に認められる場合は、「がん」は否定されたと考えても概ね差し支えないと思われます。それ以外の場合、ガンでないとは言い切れず、まだ安心できません。

細胞検査の結果、がん細胞が出なかった時、担当医が考えるのは、「ガンでなくて良かった」でなくて「うまく(がん細胞が)取れなかったかも」です。担当医がそう考えるのは、レントゲンなど画像診断で強く「がん」が疑っている場合です。細胞を取る検査をして、がん細胞が出ていないにもかかわらず、担当医から再検査や手術を勧められる場合は、「がん」の疑いをかなり強く持たれている、とお考えいただいた方がよいでしょう。

Q)細胞を取る検査で、がん細胞が取れないことがあるのですか?

A)あります。特に近年は小さい病巣が多く、採取が難しくなっています。

細胞を取る方法にもいくつかありますが、多くは針を使って細胞を吸い取ってくる方法で、痰の中に混ざった細胞や気管支の中の粘液中に混ざった細胞などを調べる方法もあります。痰の検査では必ずしもがん細胞が混ざっているとは限らないことは感覚的にもわかりやすいかと思います。

大がかりな検査(気管支鏡やCTガイド下生検という検査が多い)で、病巣から細胞を取ったはずですが、直接病巣を目で見て細胞を取れる事は少なく、内視鏡(気管支鏡)なのに、X線透視を使いながら細胞を取らなければなりません。気管支鏡検査での細胞採取は、病巣から確実に細胞を取れた保証がないということになります。このような検査で、がん細胞が出なかった時、がん細胞が本当に病巣に含まれないか、病巣以外の場所から細胞が取られたかの可能性が残ります。CTガイド下生検の命中率は比較的高いのですが、やはり似たような状況になることがあります。

Q)血液検査で肺がんかどうかわかりませんか?

A)腫瘍マーカーと言う血液検査で、数値が高いと「ガンがありそう」と疑うことができますが、「ガンがある」とは言い切れません。数値が低くても「ガンでない」とは言えません。

肺がんについては、血液検査でガンを確定的に診断できる方法はありません。遺伝子検査も大きく取り上げられることがありますが、将来の肺がんの発症の可能性が確率的に数字で示されるだけで、今見つかっている病巣がガンであるかまでわかるのではありません。腫瘍マーカーと言われている検査項目も、高値の時には、ガンの存在を強く示唆するものではありますが、決してガンであるかどうかの検査として行われているのではありません。また、腫瘍マーカーは、肺がんだけでなく、ほかの臓器のガンでも上がることがあるので、高値と言っても必ずしも肺がんであるとは限りません。

Q)PET検査で肺がんかどうかわからないのですか?

A)ガンを強く疑う、あるいは否定できそうなどの、情報のひとつとしては有益ですが、肺がんかどうかの断定的な判断には使えません。

PET検査は、原理上、がん病巣を調べているのではなく、体内の細胞に分布するブドウ糖という糖分を調べるものです。細胞の栄養分ともいえるブドウ糖が多く存在するところは、細胞の活動が盛ん→活発に分裂している細胞が多いところ、そしてそのような場所は、例えば、がん細胞が集まっている場所となって、がんの検査に使える、というのがかなり大雑把な原理です。炎症の起きている場所や、脳や心臓のような場所も、ブドウ糖をたくさん取り込んでおり、必ずしもがん病巣だけを検出できる検査ではありません。糖尿病のある方も検査が難しく、最近発見例が多い、数ミリ程度の肺病変やすりガラス病変などでは、検査結果の信頼性が低いことがわかっています。

Q)がん細胞も出てないし、血液検査もPET検査も当てにならないなら、何を根拠に肺がんを疑っているのですか?

A)ほとんどの場合、CTで認められる病巣の形と、発見以降の時間的変化を考慮した、担当医の(知識と経験に基づく)直感です。

肺がんを疑う根拠は、多くの場合、CT画像所見です。所見を見てガンかどうか疑うのは結局、その画像を見た医師の読影力であり、あえて言えば、多くの経験で裏打ちされた主観的判断です。CTを見るとき、もちろん客観的な所見を並べますが、究極は直感です。ガンと紛らわしい似たような良性の病気はたくさんあり、経験を積めば積むほど、例外的なケースに出くわします。一律にガンと判断できる所見などないと考えるべきで、なかなかコンピュータによる自動診断が実用化されない領域になっています。形状に次いで、重要視するのが時間的変化です。どのくらいの時間をおいてどう形状が変化したかが重要です。この2点をみて、肺がんを疑うべきかどうか、判断しています。

時間をかけて様子を見ると、その間に病巣が進行してしまう危険性が付きまといます。どのくらい時間間隔をあけるのが良いかはケースバイケースであり、後悔しないよう担当医とよく相談してください。

Q)迅速診断とは何ですか?

A)手術で摘出した組織を標本として、顕微鏡による病理診断を、手術中に行うことを言い、摘出した病変にガンがあるかどうかを、手術中に手早く調べるためによくおこなわれる検査の方法です。

病理診断とは、顕微鏡所見で病気の診断を確定する方法で、最終診断とも言える検査方法です。通常は、組織をホルマリンに漬け、組織を固まらせると同時に腐りにくくします(永久標本と呼びます)。固まった組織をカッターで薄く切り取ってスライドグラスに乗せ、組織に色づけして顕微鏡検査します。この一連の過程には数日を要しますので、手術で取った組織を手術中に検査することができません。そこで代わりとして行われる手法が、ホルマリンの代わりに液体窒素で凍結させて固まらせ(凍結標本と言います)、簡易な染色をしたうえで顕微鏡検査する方法です。30分程度で診断まで行えるので、手術中に出来る病理検査方法として普及しています。

肺がんに限らず、がんの手術には今や欠かせない検査方法です。外科医も目を凝らして組織を見ていますが、肉眼で見えるものには限りがあり、がんの取り残しがないか、取った病巣はがんで間違いないかなど、この検査方法で確認し、随時、切除範囲を加えたり、手術内容を変更したりします。

迅速診断法は、手術中に行うことができる、現状、最上の検査方法ではありますが、やはり簡易検査であり、正診率は90%程度と言われています。ホルマリンを使った検査(永久標本)と診断が違っている場合は、永久標本による診断を最終診断とする決まりです。