診療科・部門紹介
  • 埼玉病院のご案内
  • 診療科・部門紹介
  • 患者さんへ
  • 医療関係者の方へ
  • 職員募集
  • 交通アクセス

呼吸器外科(呼吸器外科診療Q&A(内視鏡(胸腔鏡)篇))

埼玉病院 トップ > 診療科・部門紹介 > 呼吸器外科(概要) > 呼吸器外科診療Q&A(内視鏡(胸腔鏡)篇)

呼吸器外科

呼吸器外科診療Q&A~内視鏡(胸腔鏡)篇

ここでは呼吸器診療で使われる内視鏡(=胸腔鏡、『きょうくうきょう』と読みます)に関して、
よく尋ねられる質問とその回答を記述しておきました。

Q)胸腔鏡手術は口や鼻からカメラを入れて行われる手術ですか?

A)違います。皮膚にキズ(1-2センチ程度)を入れたところから、カメラと手術道具を入れて行う手術です。

一般に『内視鏡』と言えば、胃カメラに代表される検査用装置や検査行為を指しますが、外科で『内視鏡手術』と言えば、通常は皮膚を少し切った傷口から、カメラを入れて行う手術を言います。胃カメラや大腸のカメラでも、体の組織の一部を取ったり、病巣を切除することがあり、こちらを『内視鏡切除』と呼び分ける人もいますが、厳密な使い分けや分類はありません。体にキズを入れて、そこからカメラを入れる外科治療のことを『内視鏡手術』と考えれば、概ね間違いはないと思います。

Q)内視鏡とカメラは違うものですか?

A)今は同じと考えてよいです。

厳密には、カメラを使わない内視鏡装置もありますが、現在は内視鏡装置にはCCDカメラ(デジタルカメラと同じ仕組み)を使うことがほとんどで、国内では同義に捉えられていると考えてよいと思います。

Q)カメラを体の中に入れるのですか?

A)最初に開発された内視鏡装置は、フィルムを装填したカメラを胃の中に入れ、手元でシャッターを押して撮影し、カメラを体外に引き出してフィルムを現像して初めて胃の中の様子を見ることができる、というような装置だったそうです。文字通り『胃カメラ』です。

その後、カメラ装置は光ファイバーの開発により、カメラを体外に置いて撮影できるようになりましたが、撮影されたところしか観察できない大変不便なものでした。その後カメラではなく、体外にいて内臓の内腔を肉眼で観察できるような装置になり(ファイバースコープと呼ばれる)、カメラは観察途中の所見を撮影するために使われるだけになりました。カメラは補助的な装置となり、『胃カメラ』という言葉は徐々に使われなくなっていましたが、最近になって、再びカメラ自体(厳密にはCCDというものですが)を体内に入れるタイプの内視鏡も復活しつつあり、今後はわかりません。カプセル型内視鏡と呼ばれる最新の内視鏡装置は、口から飲み込んで便とともに排出される間に、内視鏡装置自体が自動で撮影を繰り返し、これまで観察困難であった小腸を全長にわたり撮影できる装置です。

Q)内視鏡はファイバースコープとは違うものですか?

A)ファイバースコープは厳密には、カメラを使わない内視鏡装置を指し、通常はレンズを覗き込んで肉眼で観察する内視鏡装置です。少し古い内視鏡はこう呼ばれるタイプのものでした。

CCDと呼ばれるデジタルカメラ用の素子が開発されモニタ画面で観察する「電子スコープ」と呼ばれるタイプの内視鏡が普及するまでは、肉眼で見るファイバ―スコープが、内視鏡の代名詞的存在でした。「ファイバー」は光ファイバーのことで、光を内視鏡の先端から反対端まで通すための素材です。柔らかくて曲げることのできる光学ガラスに例えられます。ファイバーが開発されたことで内視鏡は初めて曲げられるようになり、この機能をもった、曲げられる内視鏡を『軟性鏡』と言う場合があります。ファイバー自体は現在の軟性内視鏡に広く使われており、ファイバースコープと言う名称は使われなくなりつつあります。

Q)硬性鏡って何ですか?

A)曲がらない内視鏡を硬性鏡と呼びます。

ファイバースコープに代表される軟性鏡に対し、光を体外に届ける部分が曲がらない内視鏡を硬性鏡と呼びます。光を通す部分は光学レンズで作られており、光を通す量が格段に増えます。軟性鏡は、くねくねと長い消化管や気管支内部を観察することが得意ですが、逆に広い空間を観察するには軟性鏡で観察するのは難しく、硬性鏡の出番となります。広い空間とは、胸腔や腹腔などのことで、つまり、内視鏡手術では硬性鏡が好んで使われています。硬性鏡でも体外部分にCCDカメラが装着されています。

Q)電子スコープが最新の内視鏡ですか?

A)電子スコープタイプの内視鏡が最新のものと考えてよいでしょう。

ただし、内視鏡径が細いものや軽量化を目指したものは、カメラ部分がないファイバースコープが依然現役内視鏡装置として使われています。

Q)最新の内視鏡装置にはどんなものがありますか?

A)現在はハイビジョン映像の内視鏡装置が普及しています。市販されている内視鏡装置では、目に見えない近赤外線領域まで観察できる装置や、立体視が可能なものもあります。

特に高画質化の恩恵は、外科の領域では大きいです。内視鏡は肉眼よりも臓器に近接して見ることができるため、ハイビジョン映像では、肉眼で見るよりも細かい所見を観察できるようになりました。まるで虫眼鏡で組織を見ているような感覚です。内部を照らす光量も安定し、ズームや見る方向を変えられるものなども出ています。

様々な機能が開発されていますが、まだ実用的・一般的でないものもあります。立体視で見る内視鏡には、3Dテレビと同じように、自然な立体感というには、(個人的には)まだ少し違和感はあります。可視外の光をとらえる装置は、今その利用法が探られている状況であり、まだ必須といえる装置ではありません。4Kや8Kといったさらに高解像度のカメラの開発も進んでいるようですが、まだ市販・普及という段階ではありません。

Q)3D内視鏡(立体内視鏡)はないのですか?

A)ありますが普及していません。

内視鏡手術開発当初から、3D内視鏡は開発が続けられ、性能も改善していますが、少なくとも胸腔鏡手術の領域では普及していません。3D映画や3Dテレビが予想ほど普及しなかった理由と同じです。個人的感想ではありますが、僅かながら違和感があり、長時間利用すると疲れます。カメラを複眼とし、映像の表示方法を工夫すれば、立体感は生まれますが、手術のような繊細な操作を伴う場合には、もう少し改良が必要と思います。

Q)内視鏡は細いほうが良いのですか?

A)検査・治療を受ける人にとっては、内視鏡の径が細いほうが楽ですが、細い内視鏡は画質が悪く、詳しく観察しながら手術をするためには、ある程度の太さの内視鏡の方が良いです。

内視鏡手術に使う硬性鏡には、3ミリ、5ミリ、10ミリの3種類の径のものがあります。3ミリで手術ができれば傷も小さく済み、良いとは思いますが、太い径のものに比べ圧倒的に画面は暗く、画質も悪いため、繊細な手術ではとても使うことはできません。10ミリではフルハイビジョン映像で観察できますが、5ミリでは古いアナログテレビの画質より少しマシ、くらいの画質です。おおよそ3ミリ=VHSテープ、5ミリ=DVDビデオ、10ミリ=地上デジタル放送やブルーレイ映像くらいの違いはあるように思います。

当科では、原則10ミリの硬性鏡で内視鏡手術を行っています。5ミリ以下の細径のものも補助的に使用することがあります。

Q)『鏡』はカメラのことですか?

A)医学機器のうち、視認による観察に使用する機器には『鏡』の文字がつけられることが多いです。日本独自の表現であり、外国では同様の意味の語は使われません。

『鏡』が使われるのは、内視鏡のほか、検眼鏡や耳鏡、鼻鏡、喉頭鏡、肛門鏡などの医療器具があり、いずれも、本来カメラが付属するものではありません。このことから『鏡』=カメラ装置ではないことが推察できます。『○○鏡』機器に共通しているのは、狭いところを覗き込むための装置という点です。いずれも古くからある医療機器で、室内に置いたランプの光を鏡に反射させて、明り取りにしたことに起源があるのでしょう。耳鼻科の医師が良く使う『額帯鏡』という診察用具をご存じではないでしょうか。銀の円盤の真ん中にのぞき窓がある反射鏡です。

Q)肺の内視鏡とは何ですか?

A)大きく分けると気管支鏡、縦隔鏡、胸腔鏡の3つがあります。

肺という臓器は左右にあって、肺がある空間を胸腔(きょうくう)と言います。両側の肺は気管支を通じて中央で繋がり、気管という一本の臓器になります。この気管がある領域が縦隔(じゅうかく)という場所で、気管は、首を通って口と鼻に繋がり、口と鼻を通して体の外と繋がっています。

口や鼻から内視鏡を入れて、気管と気管支の内側(内腔)を見るのが気管支鏡。これは内臓といっても気管と気管支の中を見る内視鏡です。

首の付け根にキズを入れ、首から胸の中に向かって縦隔にある気管の外側(と周辺の臓器)を見るのは縦隔鏡。

あばらの間にキズを入れ、肺が広がっている胸の中(あばらの内側の空間=胸腔と言います)で肺の表面やあばら内側を見るのが胸腔鏡です。今日、肺に対する内視鏡手術と言えば、通常はこの胸腔鏡を使った手術を指します。